今夜もレポート課題に目を通し、羽ペンを動かしては採点を進める。

こうして何かしていないと、どうも余計なことを考えてしまう。


こちらを伺うような視線。

緊張のあまり上擦る声。

時おり見せる、とても嬉しそうな笑顔。


思い出しただけで自分には関わりのなかった感情が溢れてしまいそうになり、眉間の皺は深くなるばかりだ。

おそらく、彼女は明日もここを訪ねてくるだろう。

毎週決まった曜日、決まった時間にここに来ては、勉強と少しの雑談を交わしている。

初めのうちは鬱陶しいだけだったが、今ではそれが習慣となり、生活の一部になっていた。

自分を律してはいるものの、純真無垢な彼女を目の当たりにすると、過保護にならずにはいられない。


あれこれと考え、結局また彼女のことで頭がいっぱいになっている自分にほとほと嫌気がさし、
キリの良いところで溜息をつき、今日も彼は浴室へ向かうのだった。








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