※スモル
※現パロ











雨の温度-Drop of rain-













繋いだ手が離れたと思ったら、睫毛の先に、雫が一つ。





































雨に降られた。
突然の雨だった。
傘は持っていない。
そもそも、傘など自分で使った事がない。
雨が降った日は、必ずと云って良い程、愛しいあの人が呆れ顔を連れて迎えに来てくれたから。
ルフィが傘を持って出ないのはわざとだと気が付いていても、何も云わなかった。
“迎えに行くから、大人しく学校で待っていろ”という連絡を心待ちにしているルフィの気持ちを裏切る事無く、多忙な合間を縫って迎えに来てくれた。
ぱしゃぱしゃと、濁った水が跳ね返るのも気にせず、大きなストライドで。
雨を目の前に佇む、ルフィの元へと。
少し弾んだ肩に笑み零すと、容赦無く頭を叩(はた)かれた。
「年寄りを扱き使うんじゃねェ」
顰めっ面が無表情であるあの人は、常に、ルフィとの年齢差を気にしていたらしい。
片や高校生、片や社会人歴十数年の分別有る大人。
犯罪だな、と零していたけれど、そんな事は全く気にしていなかった。
そんなんどうでも良いじゃねェかとルフィが癇癪を起こしても、大人の顔で笑まれ、宥められただけだった。
性知識に乏しく、精神年齢と肉体年齢がアンバランスだった所為か、身体を繋いだ事は一度も無い。
一向に手を出そうとしない事を不満に思っていたルフィが癇癪を起こし、やっと貰えた口唇へのキス。
ルフィは、巧みで不器用な優しさを持ったキスと、長い腕で抱き締められるだけで満足だったけれど、あの人はきっと違ったんだろう。
だから、ルフィの手を離したのだ。
幼い、子供の手が煩わしくなったから。




「なァ、ケムリン。なんで迎えに来てくれねェんだ…?」




可笑しなあだ名で呼んでも、一つ文句を云っただけの優しい人が、どうして。
こんなにも必要としているルフィの手を、優しく優しく解いたのか。
子供だから、分からない。
分かりたくないのに。


大人だったら。
もう少しでも、あの人に釣り合う程の大人だったなら。
もう少しでも、長く。
手を、繋いでいてくれたのだろうか。















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自作オダイ、雨シリーズより。
続きとか有るやもしれまへん。

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