【暖】(エミロビ)
「ロビンフッド、ちょっとそこに立ってみてくれないか」 「いいけど?」 何をするのかと待っていると、エミヤはロビンフッドの体に毛布を巻きつけていく。足首まですっぽり包まれたロビンフッドが呆れ顔をする。 「オレをミイラにでもするつもりかよ」 「そんなつもりはないよ。――おいで」 ロビンフッドの正面に立ったエミヤが腕を広げる。ロビンフッドは目を泳がせた後、エミヤに向かって少し体を傾けた。 エミヤの両腕で抱き上げられ、ソファまで運ばれる。エミヤは自分の膝の上に毛布で包んだロビンフッドを座らせ、用意していたカップにお湯を注ぐ。立ち登る甘い香りはココアのようだ。 「何がしたかったんです?」 身を捩って毛布から片手を出し、ココアを受け取ったロビンフッドが首を傾げる。 「どうも見ていて寒くなってきたのでね」 「あー……どうもすいませんね。オレのせいじゃねえけど」 夏が来たー! と梅雨の時期から騒いでいたマスターの指定で、ロビンフッドは六月から夏の装いである。八月も終わったというのに、オレ達の夏はこれからだ! というよくわからない主張で今も水着なのだ。上半身はパーカーの前を閉めれば何とかなるが、膝下は剥き出しだ。見ていて寒いと言われれば反論できない。 「オタクも暖かそうではないですけどね」 「私も夏服だからな」 エミヤも同じようにマスターの変なこだわりの犠牲になっている。水着姿のサーヴァントよりは随分マシだが、薄着には違いない。 ロビンフッドはふむ、と少し考えて、ココアをテーブルに置いた。毛布からもう一本の腕を出す。 「こうしたら少しはあったかいです?」 エミヤの首に腕を回してぎゅっと抱きつくと、ロビンフッドはニヤリと笑ってエミヤの耳に囁いた。エミヤの口から変な音が出たので、ロビンフッドは声を上げて笑った。 |
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