ランダム6種(先輩×長次)







するり、するり。布が擦れる音。長次は薄らと目を開いて、目の前の人物を見る。
「かわいい」
男は小さく笑みを浮かべ、抵抗も示さない彼に一言そう告げた。
愚かだな、と思う。こんな傷だらけの無愛想な大男に、そんな感情を抱くなど。
細い指が頬の傷をなぞる。ひんやりとしていて、熱持った体には心地良かった。
「長次」
名を呼ばれ、長次は答えなかった。男は笑みを浮かべたまま、肩にかかった長い髪をさらりと払う。ああ、こんな髪ですら、男は美しいと褒めるのだ。
「愛しているぞ」
視界が暗くなり、指先が胸元へ辿り着く。
(ああ)
長次は目を閉じ、全てを受け入れるように、男に身を委ねた。








(本当に愚かなのはどちらなのだろう)



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