チョイス式お題 -台詞- 「わたしが死んだら泣いてくれる?」
「蛮……」
雷帝はそっと蛮の手をとってその指先に口付けると、いつも通りのあまり感情のこもらない、静かな声で呟いた。
「俺が死んだら泣いてくれるか?」
「…………」
蛮は嫌そうに眉を顰めると、とられた手を払い、煙草に火を付けた。
紫煙を深く吸い、ゆっくりと吐き出した後、ようやくどうでもいいかのように口を開く。
「なに…オメー、死にそうなの?」
「いつだかはわからないが…もう銀次には俺は必要なさそうだからな。おそらく、な」
「ふぅん……」
そのまま会話が途切れる。
しばらく待ったが先程の答えが得られそうにないので、雷帝はもう一度同じ問いを繰り返した。
「俺が死んだら泣いてくれるか?」
「泣くわけねーだろっ」
強い口調で吐き捨てるような返事が返ってくる。
「なんでオレが、オレを置いて死んじまうようなヤツの為に泣かなきゃなんねぇんだよ!? つまんねーこと考えさせんな」
「…そうだな」
俺が消えたところで蛮が悲しむわけもないな、と妙に納得している雷帝に、一つ舌打ちをして、蛮は煙草を揉み消した。
「だから! オレをなかせたいなら、『死んだら』とかつまんねぇこと言わねぇで…」
今度は蛮が雷帝の手をとり、その指を見せつけるようにいやらしく舐め上げた。
あまり感情を表さない雷帝の目が見開かれるのをおもしろそうに見やって、蛮は挑発的に微笑んだ。
「この手で、『今』やれよ」
誘われるままに口付けてから、一応聞いてみる。
「…『なく』が違わないか?」
「どっちだって大して変わんねぇよ」
だろ?と、見つめられて微笑まれれば、確かにもうどちらでも構わないような気がしてくる。
「そうだな…今、なかせることにしよう」
自分が死んだ後で泣いてくれたところで、その涙をぬぐってやることもできない。
「ん…っ、……」
深く何度も口付け、雷帝がそのまま蛮の服を脱がそうとすると、蛮がきつく首にしがみ付いてきた。
「…蛮?」
「………オメーが死んだら、とか…」
小さな、ともすれば聞き逃してしまいそうな微かな呟き。
「ヤなこと想像させんじゃねぇよ…ばか……」
「…悪かった」
本当に今なかせてしまったかもしれないな、と思いながら、雷帝は蛮を強く抱きしめた。
お題提供:sham tears http://shamtears.nobody.jp/
☆☆☆
お題初クリア~♪
そして、攻な雷様も初(w
「どっちでも変わらないの!?」とか突込みどころはありますが、なにはともあれ、拍手ありがとうございました♪
|