【素直になれない人で10のお題】
07: 泣いて縋り付いていればよかったの?(アシュ千)

籠城していた黒雷軍の訃報が届いたのは、千尋が中つ国に戻って幾日も経っていなかった。
体勢を立て直せば、すぐにでも助けに行く筈だった。助かる見込みはどこにもなかったが、それでも千尋はアシュヴィンを助けに行くつもりでいた。
「……死が二人を別つまで」
千尋が5年の日々を過ごした世界での常套句だ。決してそう約束を口にした訳ではないが、千尋はそのつもりだった。だが、それを叶えることは出来なかった。二人の別れはもう少しだけ早くて、そしてそれはどんなに願っても無理な話だ。
彼の伴侶としては、千尋の選択は間違っていなかったのかもしれない。世界を救うには生き残らなくてはいけない。誰かが民衆を率いて、戦わなければならない。
けれど千尋の女としての心は悲鳴を上げる。最後まで共にいたかったと。
――泣いて縋り付いていればよかったの?――
(そうしたら、最期まで共に居させてくれた?)


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