【素直になれない人で10のお題】
02: プライドが殺し続けた言霊(サト高)

今更どうして言えるでしょうか。

今更言えるわけがない。


あの人は攘夷派で、挙句殺されそうになった。
嫌いだと、何度も思いましたし、そういう態度をそれとなく取ってきたのです。

異人は排除すべき対象で、敵だと考えていた。
そして実際に剣を向けた。考え方を改めた後も、距離を取りあぐねていた。
謝ることは簡単だったが、それ以上をどう現せば良いのか分からずにいた。


けれど、愛してしまった。
それでも、同じ態度を取り続けてきたのです。
今更どうしたら良いのか分かりませんでしたし、愛の言葉を吐いてもきっとあの人は呆れるだけです。
そんなこと、私のプライドが許せなかった。

今更、どうにも伝えることが出来なかった。
好意を抱いているなど言える筈がなく、同性で、しかも殺そうとした相手を好きになるわけがないことくらい、分かっていた。
分かっていて、伝えるなど不毛だと、知っていて何故言える?


ああ、でも――。

ああ、けれど、――。



拍手ありがとうございます!



ついでに一言あればどうぞ(拍手だけでも送れます)
あと1000文字。