好きなの -ネオンー



雨はあまり好きじゃないのよね。
室内にいても炎の魔法の機嫌が悪くなるから、狩りが出来ないし。

でも、雨が上がった後の空気は好き。
キンっと冷えた空気を胸いっぱいに吸い込むと
心地よくて気分がよくなるんですもの。

ぬかるみを避けて歩く町は、きらきら光って綺麗。

石畳を歩くと足元で水溜りが、ちゃぷちゃぷ言ってかわいいの。

雨が上がると、どこからともなく人が集まってきて露店を開きだす。
あちこちの店でも外に看板とパラソルを出し始めた。
さっきまで少なかった道に賑わいが戻ってくる。
人の笑顔が溢れ出す。

この瞬間が、好き。

「ソラー」

見知った顔を見つけて、私は手を上げて駆け寄る。
カートを引いて歩いていたブラックスミスのソラは、私を見てほにゃんとした笑顔を浮かべた。

「こんにちは。ネオン」

心からの笑顔は、まるで赤ん坊のように無垢で。
昔から変わらない、この気の抜けた笑顔が。

私は一番好きなの。












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