拍手ありがとうございます! お礼SS第一弾!「晴れ」です。 ※短編「春、ねこのこい」のSS。未読の方でも大丈夫です。 「晴れ」 外は快晴だった。 雲一つない空は見ていて怖くなる 目を離すと落ちてきそうだ。 とハルは思った。 空から目が離せなくなったまま 固まっていると太陽の熱で 頭がぼーっとしてきた。 「あ。」 ふと横切った飛行機 飛行機雲が美咲のうえの 空を一刀両断した。 せっかくの何もない空に 飛行機ひとつ。 残念な気もしたが この方がよっぽど好きだと思った。 完璧で美しすぎるものよりも 少しくらい不格好の方がいい。 遠くで自分の名前が呼ばれるのを聞いて ゆっくりと振り返った。 「…スズ。」 太陽で透けてみえるんじゃないかと思うほど 細く美しい灰色の髪をなびかせた 青年が近づいてくる。 痩身だがしっかりと男だとわかる程よく筋肉のついた身体に整った顔。 彼を表現するには「完璧」という言葉が最もしっくりくるだろう。 人間離れした美しさに私はいつみても酷く動揺する。 そのままでは儚く消えてしまいそうで声をかけずにはいられなくなるのだ。 「ねぇ、スズ。」 「ん。なーに?」 そういって整った顔をくしゃっと崩して笑う彼に私は安心してそうして何度も恋をするのだ。 (あー好きだ。) ある晴れた日のこと。 |
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