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お礼SS第二弾!「雨」です。


※短編「春、ねこのこい」のSS。未読の方でも大丈夫です。


「雨」

恵みの雨だとか
よく言われたりするけれど
やっぱり雨は憂鬱だ。
服は濡れて気持ち悪いし
外に出る気なんてなくなってしまう
室内にいてもどんよりした空気に気は重くなるばかりだ。


うちにいるでっかなねこも
雨は苦手なようだ。

「スズ。」


「んー?」


「ご飯は?」


「んーいらない。」


綺麗な顔の眉間に皺を寄せて身体を丸めてうずくまる姿はまるでねこそのもの。

その姿になんだか母性というものに火がついてしまったらしい私は
スズの元にかけよってさらさらと細く美しい灰色の髪を手ですいた。

「んー。」


「なーに?スズ。」


「ハルの手、気持ちいいね。」


そういったスズの顔はさっきよりも幾分かほっとした顔になって眠りについた。

スズの髪の毛を撫でているとなんだか自分も気分が落ち着いてきて
さっきまではあんなに嫌だった雨も二人を包むBGMのように思えてくるから不思議だ。
屋根から聞こえる規則的な音に混じる大きな雨粒のリズムに段々と自分も睡魔に襲われてきた。
霞む視界の片隅に綺麗な横顔で眠るスズをみる。


ああ、こんな日なら雨も悪くないかもしれない。そう思いながら私は睡魔に身を任せることにした。





ある雨の日のこと



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