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愛しい、と。 ただ愛しいというのはこのことを言うのだろうか、とかつて殺戮の限りを尽くした異星の王子はつい先日生まれたばかりの娘を、ガラス越しに眺めている。 ときたま、開く目は。 その瞳は。 他の誰かとは比べ物にもならないほどに愛した女の瞳と同じ色をしていて。 その髪も。 たった一人の、妻と同じ色で。 一人、夜中の新生児室のガラスにへばりついている王子は、自分を嘲る。 堕ちたもんだ 一体、誰がこのようになると想像できただろうか。 48にもなって、女に二人目の子供を産ませるなんて。 その生まれた子供を眺めて、締りの無い顔で微笑む自分が居るなんて。 誰が想像できただろうか。 だけど、王子は。 ・・・・・・幸せ、とはこのこと・・・か 嗚呼、抱き上げたい。 はやく、抱き上げたい。 「ブラ・・・」 一言呟いて、王子はその場を離れていった。 fin ******* ベジータ王子とブラちゃんの組み合わせ、好きです。 |
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