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「ちょっとそこのコンビニで止めて」
少し遠出のドライブの帰り、友樹が運転する崎山に声をかける。
「なに?どうしたん?もうすぐウチ着くで」
途中渋滞に巻き込まれたため、もうすぐ日付が変わろうかという時間になっていた。
家には連絡をさせたものの、友樹はまだ高校生だ。
少しでも早く家に送り届けようと先を急いでいた。
「明日、学食休みなの忘れてた。購買も休みだし」
「それやったら明日朝に買ったらええやん」
「アホか」
最近友樹はよくこの言葉を使う。
なんだか新密度が増したようで崎山は嬉しい。
それに関西弁が移っているのがちょっとカワイイ。
そんなことを崎山が思っているとは露知らず、友樹は続ける。
「ダメダメ。駅前も学校もどっちのコンビニもウチの生徒でいっぱいになるに決まってる。
前に学食が休みだったとき、なにも考えずに登校してさ、昼飯は買えないわ遅刻だわでとんでもなかったんだよ」
「じゃあウチをはよ出たらええやん」
「絶対ムリ!起きられない!」
「やろなぁ。おまえ寝起き悪いからなぁ」
そこでハッとひらめいた。
「そうや!弁当つくったるわ!」
つい最近どこかの雑誌で今オトコが弁当を作るのが流行っていると見たことがある。
崎山はかなりの料理好きだが、自分のために作るのはあまり好きではない。
人を手料理でもてなすことに料理の意義を感じるのだ。
これはいいチャンスだ。
崎山は嬉々とあれこれとメニューに思いを馳せる。
崎山の提案に友樹はあっけに取られた表情を浮かべた後、眉間に皺を寄せる。
「あんた何考えてんの?」
「べっつにぃ~おれが友樹に作ってあげたいだけ!それとも友樹、あれなん?おれの作った料理キライ?」
嫌いなわけないとわかっていながら意地悪く問いかけると、友樹は慌てて否定した。
「せやろ?明日持ってってやるから。楽しみにしとけや」

友樹を無事送り届けた後、崎山は少し離れた場所にある24時間営業のスーパーに向かい、食材を買い込んだ。
崎山には一度挑戦してみたいことがあった。
自己満足のためならいつだって作ってみればいいのだけれど、やはり誰かに見て楽しんで味わってもらいたい。
驚くその瞬間に立ち会えないのは残念だけれども。
少し前に買っておいた本をパラパラめくってみる。
崎山は料理に興味がある。アルバイトも居酒屋だし、最近では調理もさせてもらえるようになった。
別に料理人になろうとは思わないが、自分が作ったものを食べて喜んでくれるその笑顔を見るのがとても好きなのだ。
それが恋人となるとさらにヤル気が出るというものだ。
「おっし!やったるでぇ~!」
すでに時刻は真夜中の1時。
友樹の家に届けるのは朝の7時。
崎山は腕まくりすると、キッチン台へと向かった。








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