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お正月初詣SSです(毎年同じでごめんなさい)



「アキ、ちょっとだけ待っててもらって!」
何か忘れ物でもしたのか、バタバタと階段を駆け上がる啓人に言われて、ぼくは玄関のドアを開けた。
「あけましておめでとう」
今年初めて見る彼の笑顔にぼくはしばし見とれてしまった。
「陽人くん・・・・・・?」
「お、おめでとうございます。すみません、ヒロのこと少し待ってやってください」
ぼくは慌てて言葉を返すと、奥に引っ込もうとした。
心臓の高鳴りが聞こえてしまいそうで怖い。
それほどぼくの胸はドキドキ音を立てていた。
やっぱりぼくはこの人のことが好きなんだと自覚すると同時に罪悪感に苛まれる。
だって彼はぼくの・・・ぼくの大切な弟の恋人なのだから。
この気持ちはずっとずっと隠し通さなければらならい。
報われないとわかっていながらも、こうやって彼に会うだけでどうしようもない気持ちなるけれど。
誰にも祝福されない、喜ばれない恋心は秘めておくしかないのだ。
「陽人くんも、一緒に行かない?」
優しい彼は恋人の兄に対しても優しく接してくれる。
「ほら、ヒロと同じできみだって受験生なんだし」
彼に気にかけてもらえて嬉しい気持ちと、その優しさが啓人の身内に対するものだという苦い気持ちがないまぜになる。
幾度となく繰り返されるこの思い。
だけどぼくはちゃんとわかっているし、わきまえている。
「何を言ってるんですか。デートの邪魔なんてできるわけないでしょ。新年そうそう」
だから笑うことができる。笑って送り出すことができるんだ。
「コウちゃん、お待たせ~~~あっ、そのコート、年末のバーゲンでおれが見立てたやつ!」
嬉しそうな啓人の声が、その場にいるはずのぼくの存在を希薄にする。
微笑みあう恋人たちを見送って、ぼくはレッスン部屋へと向かった。









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