-----尊ぶ命と 燃える朝





両手で顔面を覆う。
堪えられない嗚咽が漏れるけれど、声を溢したくなくて噛み殺す。
息苦しさに涙が溢れる。
そう、この涙は息苦しさなんだ。

断じて、別の感情じゃないんだ。

硬直した体が痛い。
緊張が続いて肺が痛い。
それでも丸めた体を解けない。
息苦しい。助けて。
いや、助けないでくれ。

そこで俺は、曖昧な意識を認識する。
朦朧とした認識の境界に気付く。

これは半分夢で、半分現実だ。
どこがどうかは考えない。
半分夢であるのなら、この両掌に溜まった塩水で溺れることは無いだろう。
そして声がこもった気泡は、すぐに水溜りから宙へと溶けるのだ。
音の余韻なんか残さずに。

余韻なんか関係ないのだ。
だって、この声に意味が無いのだから。

発せずにはいられない声。

音の波紋は、憎しみしか反響させないって知っているのに。


「……………」


遠い声。
聞き取れないのに、その音が俺の全身を包み込んだのが分かった。
俺の懺悔を受け止めて、そして許しの言葉を降らせてくれた。


ああ、違うんだ。
許しなんかいらないんだ。


俺は

断罪して欲しいんだ。


嫌な顔をするってわかっているのに思わず言ってしまった言葉。
取り返しがつかない言葉。

涙を枯らしたとしても、喉を潰したとしても、許されない罪。
罪の権化が生きていて、何の秩序なのか。

俺は何様なのか。



「生きやがれ、馬鹿。」



千の否定。

一の肯定。


天秤が贔屓する。
ご都合主義が八百長だ。


口内に血の味を覚えて目を開ける。
指の隙間の向こうに広がる赤。
光と原色。

生の価値。
贖罪の重さ。


計り知れないなら、

どっちもこの赤で、

焼き捨ててしまえばいいのに。




(04/18〜)

光が差す場所。
命が終わる瞬間と、始まるその時と。

その光が、赤であって欲しい。






Pachi Pachi Thank's!!!  byシオマメ





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