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薬研とかくれんぼ

かくれんぼをするから人数を集めるのを手伝ってと誘われて、宗三と不動を連れて集合場所の庭に集まった。
短刀だけではなく結構な人数が集まった中で5、6人くらいずつで固まってじゃんけんをする。どんどんじゃんけんに勝って抜けていく中で最後の最後まで残っていたのが信濃だ。
見つかった人から鬼になるらしく、時間が経つにつれて隠れるのが難しくなるんだろう。

範囲は戸の閉まっている個人の部屋と厠以外の本丸敷地内全部。今集まっている人たちは隠れる可能性があるなら部屋の戸を開けて来いと言われていた。
かくれんぼに参加していない奴らにも協力して貰って、隠れるのに使って良い部屋は開けてくれているらしく本丸の7割は戸が開いていた。
信濃は極になっていて偵察能力が高いから極になっていない奴や隠蔽の低い奴は直ぐに見つかりそうだが、俺らで頑張ろうな、と隠蔽能力の高い極の鯰尾兄が骨喰兄の肩を叩く。

一度場所を決めたら移動はなし。100数えたら隠れていなくても問答無用で開始する。鬼の総意なら降参可。降参の場合は緊急連絡手段の1つでもある備え付けのすぴいかあから降参だという旨を流す。夕餉の時間になっても見つからない人が居れば同じく放送すること。
庭の真ん中にしゃがみ込み数を数え始める信濃。全員ぱっと散り散りになり、俺はどこに隠れようか思案する。
粟田口部屋は他の奴らも隠れそうだ。厨は流石に邪魔になるか。かくれんぼには参加していないが長谷部の部屋にでも隠れているか。

「お、大将も参加してんのか」
「うん。かくれんぼ久しぶりだね」

最近は催事で慌しく大勢での遊びも出来ていなくて、そうだなと頷いた。
来週からまた新しい催事が開催されるから大勢で遊べるのは今しかない。
そう説得されて普段は馴れ合わないと言っている大倶利伽羅も山姥切が居ると絶対に加わってくれない長義も今回はかくれんぼに参加してくれている。

「大将はどこに隠れるんだ?」
「私良い隠れ場所知ってるんだよね」

薬研も一緒に来る?
そう誘われて、一人で隠れるよりは大将と一緒の方が楽しいかと頷いた。

戸が開けられたままの大将の部屋に入る。
大将は押入れの襖を開けて、箱やらなにやらを少しずつずらしてしゃがみ込み突き当たりの壁をとんとんと場所を変えながら叩く。とんとん叩いていると一箇所だけ軽い音のするところがあって、そこを押すとがこんと音が鳴り壁が回転した。
おお、と声を漏らすとしぃ、と人差し指を唇の前に立てて、押入れに置いてあった箱から懐中電灯を取り出して俺に渡す。先に入ってと促されて回転扉の低いすき間を屈んで通った。
大将は襖を閉めて同じように屈んで回転扉をくぐる。がこんと扉が閉まって、懐中電灯がないと真っ暗だろうこの空間はまだ奥まで続いていた。

屈みながら進むと突き当たりはぎりぎり立てるくらいの少し広い部屋になっていて、大将が持ち込んだんだろう机と小さい置物みたいなものがあって、置物を裏返してかちりとなにか操作すると明かりがついた。
懐中電灯を消して腰を落ち着かせる。これは流石に人数が増えても見つけられないだろう。

「ここは何の部屋なんだ?」
「たぶん審神者用の敵襲とかの時に隠れたり、逃げたりする部屋だと思う。
 ここ開けると階段があって、地下を通って蔵に出れるんだ」

大将がここ、と指した床には確かに、よく見ると指が掛かるようになっている。
開けてみる?と訊かれて好奇心に素直に従った。
床に手を掛け上に持ち上げると石でできた階段があり、そこの一段目に何足か履物が置いてあった。
そのまま岩と木で組まれた通路が続いていて、大阪城の地下を思い出す。
涼しい風が流れてきて酸欠の心配もなさそうだ。

「ここ初期刀の清光しか知らないんだ。薬研は初鍛刀だからいつか言おうと思ってたんだけど、ようやく機会あったね」

なら他の奴らには黙っていた方が良さそうだと、大将の信頼の置ける一人になれたんだと。

「一人だとちょっと怖いから薬研来てくれて助かった」

安心しきって言う大将に、2人きりでそういうこと言わない方が、という忠告は、今は止めておこうと飲み込んだ。




(放送を聞いて蔵から出たら、先に見つかった蔵に隠れていた包丁に驚かれた)



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