《オリジナル/龍の鉱石》


「思った通りだ。リベルテ。ユリアの花がよく似合うねぇ」
「………」
正気か、と問うかのようなリベルテには珍しい渋面で睨まれて、ゼファはへらりと笑った。
「本当だって。オレの審美眼を信じなさいよ、リベルテ」
柔らかに波打つ褐色の髪、深い森にしっとりと敷き詰められた苔のような色の瞳に、大輪ながら上品な色合いのユリアの花はとてもよく似合っている。
惜しむらくは花が大きすぎてリベルテの繊細な造りの顔に影を落としてしまっていることくらいか。
「…ユリアの花をありがとうございます、ゼファ。これは煎じれば腹下しに効く薬になるんです」
猫っ毛にうまいこと花を挿したゼファの苦心はあっさり無視することに決めたらしく、リベルテはさっさとユリアの花を取ってしまう。
「あーあ」
「どうぞ、かけてください。花のお礼にお茶でも淹れますよ」
「はいはい。ありがとう」
もちろん花を挿したリベルテより花を煎じるリベルテのほうがよっぽど素敵だけどね、という言葉は唇の奥に仕舞っておいて、そそっかしいリベルテの手伝いをするべくゼファも台所に向かった。



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