ザビーダ+アリーシャ




「おめでとーー!」

「幸せになれよーー!」

高らかに鳴る鐘の音とあふれんばかりの歓声。そして零れんばかりの笑顔。

笑顔の中心にいたのは純白の衣装に身を包んだ花嫁。

綺麗に着飾った彼女はとても美しく。そして眩い。




思わず目を引かれるのは当然だと思う。

幸せな空気はいつ見ても心を温めるものだし、

彼女達の幸せそうな顔は見ているだけで羨ましく、そして同時に心から祝福したいと思う。

それが自国の国民でも、通りがかりの人々でさえ。心はいつでもそう思う。




だが、いつからだろうか。

彼女たちが眩しく思えて直視できなくなったのは。

言いようのない感情が芽生えて、心から祝福できなくなったのは。





一緒に歩んでいきたいと思えた人と添い遂げることができる、その幸せを




当り前に感受できない自分を呪うようになったのは












「ひーめさん。」

「あ、ザビーダ様。」

「どったの?」

姫さん、と呼ばれた女性の傍らに浅黒い肌と銀髪を腰までなびかせた青年が立っていた。

女性の視線を追うと、男はわずかに顔を曇らせたがそれを一瞬でかき消し笑う。

「ああ、結婚式か。あの花嫁さん別嬪だな。」

「ええ、綺麗ですね。」

静かに微笑む女性の横顔を男が覗き見る。

少女のような幼さは身をひそめ、品格を漂わせる仕草と美貌はそこらの輩では太刀打ちできない。

その噂が近隣諸国へ広がって縁談は後を絶たないと人のうわさで聞いた。

しかし、当の本人は全くその気がなく断り続けているのだから、難攻不落の王女として名高くなってしまった。



「姫さん。」

「はい、え??」

その視界をふさぐように後ろから手で彼女の瞳を覆った。

そしてなるべく淡々と言葉を紡ぐ。

「想像してみな。あそこにいるのがアンタで、相手はスレイ。」

「――――ッ!」

「さぞかし幸せそうに笑うんだろうな。そんでミク坊とエドナとライラと俺様と。

 みんなで馬鹿みたいに笑って歌って。ミク坊なんか特別なウエディングケーキなんか作ったりしてな。」

「っ、」

「あんたもスレイも皆に祝福されて家族になるんだ。こんな幸せな事、ねぇよな。」


「――――――ッ、ザビーダ様は意地悪ですっ!!!」

ザビーダは寂しそうに笑うと、視界を覆っていた手のひらをどけた。

とたん、眩いほどの光が目に入り、まともに前が見れなかったがそれでも女性は振り返ってザビーダをにらみつけていた。

大きな瞳に大粒の涙を浮かべて。




「そ、俺様は意地悪だぜ?好きなオンナノコには特別、な。」

「――――っ、わかっているつもりです!!」

「アイツはもう姫さんに何も与えてやることはできねぇよ。アイツを想うのはいい。憂うのもいい。

 だけど、そろそろ前向く準備した方がいいんじゃねーの?アンタ達はどんなに頑張っても短くしか生きられねぇ。」

「わかって・・・・」

「アイツが遺したこの世界で生きるって決めたんだろ?精一杯生きなきゃなぁ。」

「・・・・・・はい。」

「アリーシャ、よくできました。」

アリーシャ、と呼ばれた女性が静かに頷いて見せた。

幾重にも涙が零れ落ち最後には顔をくしゃくしゃにして泣き始めたのを、男は黙って傍にいた。

時折慰めるように頭を撫でて背中をさすって。

子供をあやすように何度も何度も繰り返し、アリーシャの気が済むまで泣かせてやった。

これで泣くのは最後だと決めているように、その時は加減もなく泣くのをザビーダは温かく見守っていた。











その数か月後、アリーシャの輿入れの話があがったと、風の噂でザビーダは知る事になる。










END





その後の世界のアリーシャの話。
ザビーダがね一番客観的にものを言ってくれるような気がするの。
ライラとかミクリオは遠慮しちゃいそうだから。
エドナはぎりぎり可能性はありそう。
ロゼも言ってくれそうだけど。私の趣味でザビーダにしました。



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