『文字数参 鎮魂歌』

俺達は、結局の所“忍”という身分だ。
幾ら旦那やお館様に良くして頂いていても、
墓を持つ事なんて出来ない身分だ。
それどころか、下手をすれば存在自体を無かった事にされる。
“忍”という身分や仕事を選んでしまったのだから、
それは仕方の無い事だとも、割り切っている。
それでも、帰る故郷や帰る場所はある。
けど、風魔には、もぉそんな場所すらない。
俺達のせいで北条を追い出された風魔。
そんな風魔を拾ってしまった俺。
敵側の忍を拾って、連れて帰るなんて、
真田忍隊の長である猿飛佐助がする事ではない。
それでも、俺は…
風魔に帰る場所を作ってやりたかった。
高望みだろうけど、俺がその場所になれれば良いとも思った。
もし、風魔が任務に失敗し、その身が朽ちてしまおうと、
俺がここで生きている限り、悲しんでやることは出来る。
朽ちて砕け散って逝くだろう風魔の為に、
経の一つでも読んでやれる。
だから、連れてきた。
だから、
俺が朽ちたその時は、声を失った口で、
俺の視界が閉じてしまうその時まで、
声亡き経を唱えて欲しい…

お題提供 儚儚



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