拍手パチパチありがとうございます!!
お礼小話は現在ふたつです。これはひとつめ。

--------------------------------------------------------------------------

サイタマのための、とジェノスは思う。
この腹の中に、サイタマだけが触れる、サイタマだけのための、サイタマだけにゆるされた場所がある。
そのことはジェノスにふしぎな安寧をもたらす。初めて自分だけの食器を与えられたときのような。雪山を歩いたあと、暖炉の前のソファに落ち着いたときの気持ちにも似ているかもしれない。
ジェノスの下腹部にあるそこ、サイタマのためのうろは、実際に使われることはない。ないのだろう、おそらく。それならそれで構わなかった。肝心なのは、その場所が己のなかにあるという事実だった。
誰も知ることはない、彼自身も知らない、サイタマのための場所を抱えて、ジェノスは今日もサイタマのそばにいる。
おそらくこれを、ひとは幸福と言うのだろう。



ついでに一言あればどうぞ(拍手だけでも送れます)
あと1000文字。