ありがとうございました!
Communication 君にしか言えない言葉と
君にしかわからない言葉と
君としか笑えない話と
僕は、そんなものでしかできていないよ。
冬の午後。
白い息を空中に放ちながら、君は口を開く。
――どうしてそんなに……
君が呑み込んだ科白を、僕は当てられる。
――誰とも話さないのかって?
君は少し悲しそうな顔で頷いた。
――それは僕にもわからないよ。
僕がそう言うと、君はうつむいて黙る。
本当は、理由は君だよ。
そんなことは言えない。
だから曖昧に濁して、君には何も告げない。
だって重いだろう? 君しか要らないなんて。
僕は君の負担になんか、本当はなりたくない。
本当は、もっと誰とでも話せるように、なりたいんだよ。
――もう少ししたら…
僕が沈黙を破ると、君が顔をあげた。
少し間を置くと、君は眼で先を促す。
――たぶん、いろんな人と話せるようになるから……
僕はまたそこで言葉を切って、大きく息を吐きだした。
――そんなに心配しないで。
君はやわらかく微笑んだ。
もしその時がきたら、君は本当はどう思うかな。
君としか話せなかった僕が、君の知らない人と笑いあっていたら。
少し……ほんの少しでも、君は妬ましく思うだろうか。
そうであればいい。
最後には、どうしても君しか僕の中にはいない……。
こんな風にしか人とかかわれない僕を、どうか、許して。
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