金色のコルダ 月森×香穂子





 夕暮れのオレンジが練習室の中を染める。
 カーテンを開けてその夕焼けに目を細めると、ヴァイオリンをケースに置いた月森がそうっと背後から手を回した。

「どうしたの、月森くん」

 赤みがかった香穂子の髪に口づけて、その香りを嗅ぐ。甘い匂い。

「時々…」

 下ろした髪を撫でる。耳へとかきあげて、露わになった耳朶をくすぐる。

「っ…くすぐった…」

「時々、君が俺の目の前から去っていくんじゃないかと思うことがある」

 消え入りそうな、夕日に消されてしまいそうな。
 そんなか細い声だった。

「けれど俺には繋ぎとめる術を知らない。知っているのは、たった一つ」

「…それは?」

 制服の裾から、するりと冷たい手が滑り込む。
 同時に舌で耳朶の輪郭をなぞりながら、空いた手で香穂子の唇をなぞった。

「こうして、俺の腕の中に閉じ込めてしまうことだけだ…」

 自分たちはまだ高校生なのに。
 時々、どうしようもなく暴れ回る感情を抑えきれなくて。

「好きだよ、香穂子…」

 抵抗されないのをいいことに、月森の手はスカートの中へと侵入していく。



「離れていかないでくれ…」



 呟いた言葉は、今にも泣き出しそうな、迷子になった子どものような。
 消えてしまいそうなほど頼りなかったから。

「大丈夫だよ、月森くん」

 手の冷たい感触に息を殺しながら、そうっと柔らかな髪を一房すくう。
 泣き出しそうな瞳に笑いかけて、月森の頭をぎゅうっと抱き寄せた。

「どこにも行かない。どこにも行けない。だって私は」

 月森くんだけだから。
 ひゅ、と息をのむ音。一瞬後には背中に固い感触。目の前には月森の切羽詰まった表情と、天井。
 ああ、とどこかでストンと理解してしまう。
 自分もこうしたかったのだな、と。

「だから、大丈夫」

「香穂…」

 重ねられる唇が熱い。溺れてしまいそうだ。
 月森の手のひらに踊らされながら、香穂子が目を閉じた。

「好きだよ、月森くん」

 更に色を濃くしたオレンジ色が、二人を隠すように部屋を染めていた。









拍手ありがとうございます!
金色のコルダ(月日)、薄桜鬼(斎千)、遥か2(幸花、継花)、遥か4(那千) 各2種の、計10種です。
拍手お返事はブログにて致します。



ついでに一言!管理人が泣いて喜びます(拍手だけでも送れます)
お名前 URL
メッセージ
あと1000文字。お名前、URLは未記入可。