那智君と買い物しながら歩いていたら、那智君が急に立ち止まった。



「真奈美、お腹空かない?」

「そういえば・・・もうお昼なんだね」


そしてそれを認識すると急に鳴り出す私のお腹。


「・・・ぷっ。聞こえたよ、今の音。そんなに減ってたんだ?」


は、恥ずかしい・・・。


「だ、だって那智君がそんなこと言うから急に意識しちゃって」

「はいはい、そうだね~。じゃ、ここで食べよっか」


そう言って那智君は私の手を引っ張って目の前にあった喫茶店に入った。





「ここって、確かパンが焼きたてで美味しいところだよね?」

「そ。講義の空き時間とかでたまに来るんだけどさ、ここのクロワッサンが美味しいんだよね」

「そうなんだ。じゃあ私もそれにしようかな」


チョコレートが入ったそのクロワッサンは、写真を見る限りでもすごく美味しそうだった。





「お待たせ致しました」


テーブルの上に運ばれて来たのは焼きたてでほのかに湯気を立てるパンといい香りのする紅茶。

那智君も同じものを頼んだので、パンは2人の間にバスケットに入れられて置かれている。



「わぁ、本当に美味しそう」


目当てのクロワッサンに手を伸ばすと、それを目の前の手がスッと取り上げる。


「那智君?」


何するんだろう、と那智君を見上げると、那智君はニコニコしながらそのクロワッサンをちぎって、私に差し出した。


「はい、真奈美。あーん♪」

「・・・・・・・!?」


那智君の行動がしばらく理解出来なくて、言葉が出て来なかった。



「あれ、真奈美いらないの?なら俺食べちゃうけど」

「そ、そうじゃなくて」


やっとそれだけを口にする。


「あ、やっぱり食べたい?じゃあほら、口開けないと食べられないよ?」


と、再びパンをこちらに差し出す那智君。


「だから!普通に食べようよ」

「えー、俺普通だよ?」

「普通の人は『あーん』はしません!」



すると、那智君の顔がしょんぼりしたようなものになる。



「この間さ、この店で同じようにして食べてるカップルがいたんだよね」

「な、那智君?」


「その2人がすごい幸せそうだったからさ、俺達もそうなれたらいいなって思ったんだけど・・・そうだよな。真奈美は嫌だよな、こういうの。ごめんね、真奈美」


そう言われると、とっても申し訳ない気持ちになってくる。

那智君が折角そんな風に思ってくれてたのに私の態度、酷かったよね。


「那智君、ごめんね・・・?ちょっとね、恥ずかしかっただけなの。でも、嫌ってことはないよ」


そう言うと、那智君の顔がパッと輝いた。


「本当?嫌じゃないの?」

「う、うん」

「よかった~。それじゃあはい、あーん♪」


と、笑顔で差し出されたらもうさすがに食べない訳にはいかなくて。


意を決してそれをパクッと口に入れた。


「真奈美、美味しい?」

「う、うん・・・」


正直恥ずかし過ぎてそれどころじゃないけど、私はそう答えた。


「あはは、よかった。じゃあはい、あーん♪」

「えぇ!?まだやるの?」

「だってまだこんなに残ってるよ?ちゃーんと、全部食べようね?」


にっこり微笑まれて、結局私は口を開けた。


「・・・くくっ。その顔がホンット、可愛いんだよなぁ」


何か聞こえたような気がして、首を傾げる。


「那智君、今何か言った?」

「ううん、なんにも言ってないよ。それよりも、はい、あーん♪」

「ううっ・・・」



結局それはテーブルの上にあるパン全て(途中おかわりまでされるとは思わなかったけど!)が食べ終わるまで続いたのだった・・・。




外出先でふと浮かんだなちまな。
元ネタは中の人が某チョコクロワッサン好きだというところから。
相変わらず那智が上手く書けません・・・難しいよ那智!
拍手、ありがとうございましたv

Kirsche管理人:愛美






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