夜うさ第3部の新しい話、書き途中ver.です!
「夜天くん!」
「これは......どういう状況?」
大気は動かして平気なのか?と状態を検分しながら、軽く持ち上げ、うさぎが下から出てこられるように空間をあけてやる。
「おだんごっ! 何があった――って、夜天! 戻ってきたのか」
「セイヤ……大気さんが……」
大気の下から這い出でるのを、駆け付けた星野に手を引かれ、手伝ってもらう。
その時にうさぎは、自分の手に大気の血がついていることに気が付いた。
その色の鮮やかさに、心臓がドクリと嫌な音を立てる。
「あれ? 前にも、あたし…… 夜天、くん……」
一瞬虚ろになった、うさぎの瞳が、不安げに辺りを見回し、夜天と目が合う。
そして、次に星野の姿をとらえると、今度は大きく見開かれた。
「っ! セイヤ、頭はっ! 頭は平気なの!?」
勢いよく、目の前の星野に掴みかかり、興奮して訊ねる。
「は? 頭を打ったのはお前の方だろ」
うさぎが頭を打ってから、色々ややこしくなったのだ。
「違うっ! セイヤが、あたしの代わりに、攻撃を受けて、それで、頭から血を流して……っ! 今度は大気さんまで!」
ボロボロとその瞳から涙が溢れては落ちる。
星野が狼狽えていると、背後からバタバタと新しく人が走ってくる音が聞こえた。
「子猫ちゃん!? どうした!」
はるかとみちるだった。
「違うのっ! セイヤも、大気さんも、あたしのことを守ろうとしてくれて、それでっ! お願い、もう会うななんて、言わないで!」
「うさぎ!?」
懸命に言いながら、星野とはるかたちの間に立ちはだかるように躍り出たうさぎの取り乱した様子に、みちるは仰天した。
「おだんごっ!」
星野はパニック状態のうさぎの腕を引き、かき抱くように腕の中にガッシリと押さえつけ、身動き出来ないようにする。
「大丈夫だ、落ち着け! お前、またあの夜間飛行のイベントの時に戻ってるのか。あの時は夜天が、俺の頭の中まで透視できる訳じゃないからって、変な内出血とかがないか、病院で検査してもらうためにそのまま行ったけど、退院してからすぐ、夜天に治癒してもらったんだ」
だから、傷も何ももうない。すっかり元気だよ、と、うさぎに言い聞かせる。
うさぎは、その星野の言葉を頭に叩き込むように熱心に聞く。
そして、混乱していた頭がすっかり落ち着くと、脱力した。
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執筆中の35話です!暑くなりましたね…なんだか少し滅入ってきましたが…元気に夏を乗り越えたいところです(>_<)(2025-6-30)
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