[Thanks!]
***生徒会室の風景*** カラカラとアルミの軽い音を鳴らして開かれた生徒会室の窓。 遠くで声を張り上げている(らしい)幸村と、風紀委員長堅田の姿をぼんやりと眺めながら、朝の澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込む。 昨日は眠れなかった。 特別やることはないと感じていたのに、時間があるのなら、と始めた予習が止まらなくなってしまい、気が付いた頃には意識が眠気のかけらもない所までいってしまっていた。 授業についていくことが出来ても、これじゃ睡魔に襲われる。 慌ててベッドへ潜り込むも、来て欲しい時に現れないのが睡魔というもの。 仕方なしに適当な小説を手に取って活字の催眠効果を期待するもそれも叶わず、窓の向こうから明るい日差しが差し込んできていた。 服装チェックの当番ではない今日はこんなに早く登校しなくても良かったのに。 少しだけ損をしたような錯覚を感じながら、早く帰宅できるよう朝のうちに出来そうな生徒会の仕事を終わらせようと生徒会室に向かい、そして冒頭に戻る。 ふいに。 視線を感じたので校門のほうに目をやれば朝の光でキラキラと輝く色素の薄い髪の男。 同時に熱を持つ自分の顔に言い表せない何かを感じて、開けていた窓を勢いよく閉めた。 遠くからこちらを眺めているのであろうあの男が、笑みを浮かべたような気がした。 どこにもぶつけられないこのもやもやとした感情を抱えたまま生徒会長の椅子に腰掛る。 どうしてこんなに私が動揺しなくちゃならないのだ。 そう思っても治まらない鼓動にため息を一つ。 彼のことだからあと5分もしないうちにここへやってくるのだろう。 眠そうな顔をしてここに。 でもきっとそんな彼を見るだけで、こんな眠気や疲れなんてどこかへ消えてしまうんだろう。 彼の魔法で、不思議とそんなネガティブなものが消えていくんだ。 ほら聞こえてきた。 遠くから、彼の足音。 「おはよ、会長」 「…おぅ」 だから今日だけは、生徒会室へ入ってくるのを許してやるんだ。 ****** 拍手有難うございました。 何かございましたら、下部よりメッセージをどうぞ。 |
|