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【食伊/ちょこへ/木勘/竹くく/孫さも】
以下の文章は木勘です。

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 むすっとした顔で膨れたまま、こちらを睨みつけてくる幼子にどんな顔をしてやるべきなのか困る。担任教師としてならば十四にもなって子供っぽい真似をするんじゃないと言ってやるところだけれど、恋人としてならば甘やかしてやるべきなのかもしれないとも思う。中途半端に伸ばした指先は結局どうしようもなく固まったままで、ちらりとそれを見た勘右衛門はよりむすっとした表情をした。
 勘右衛門が怒る理由はとても些細なことだ。こっちを見てくれないだとか構ってくれないだとかそういうこと。そんなことを言われたって、と思わないのではないけれど、一人で泣かれたりするよりかはこうやって拗ねてくれた方が幾分も気が楽だった。こうやって勘右衛門が意思表示をしてくれないと動かないのはずるいやり方だとわかっているのだけれど、結局のところ臆病な自分は確かに勘右衛門に触れることを後回しにしがちだった。

「先生、だんまりしてないでよ」

 ぐいっと近くまで勘右衛門が迫ってくる、まん丸瞳がくるんと回って痛いくらいの視線をこちらに浴びせてくる。だからつい、それまで動かせなかった指先が動いて勘右衛門の視界を塞いでしまったのは、――その瞳の真剣さに高鳴りかけた心臓まで見抜かれてしまいそうだったからだ。

「ちょ、先生?!」
「少し黙っておれ」

 それまで勘右衛門が黙るわけにはいかない環境をつくっていたのはこちらだというのにそんな勝手なことを言って、そうしてその額に唇を落としてやった。ちゅっと軽く音を立てて唇とともに掌を離す。真っ赤な顔になった勘右衛門は慌てたように「わっわっわっわっ」と顔をきょろきょろとさせた後、急いで今度はこちらの視界を塞いできた。そんなことしたって真っ赤になってしまった顔はもうばっちりみえてしまっているのだけれど。

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3、目隠し
capriccioさまより「目の色五題」をお借りしております。



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