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任務の帰りに、花売りの少女と出逢った。
歓楽街に似つかわしくない、爽やかな風をまとった少女。
いや、少女というより女性と言った方がよいのかもしれない。
けど、あの街で軽やかに笑う姿は、とても純粋で、透き通って見えたんだ。
一仕事を終えたばかりで高ぶっていた神経が、
花売りの少女を見た途端、不思議な落ち着きを取り戻すのがわかった。

ふと、手に持っている花を見つめた。

普段なら全く興味がないが、少女の無垢な笑みのせいか、
それとも、全く別の理由か・・・。
いつの間にか、花を買っている自分がいた。
たった1ギルの安い花。
だが、それでも光が届かないスラムにとっては、宝物のような花だ。

喜んで、くれるだろうか・・・・・・?

花売りの少女とは正反対の、生き生きと輝いた笑顔を見せる女性が浮かんだ。
任務の報酬をもらえば、もう二度と会うこともないだろう。
だが、俺を覚えてくれていたこと。
声を掛けてくれたことが、本当は嬉しかったんだ。

「おかえり」

その言葉に、救われた気がしたんだ。

だから、きっと、言葉では伝えることができないから。
せめて、この花に想いを託して。
心の中では、そっと呟くよ。


『ありがとう』







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