素直じゃないから言えないけど

それでもお前は笑う


+プレゼント+


「ねぇユウ?」

「うるせぇよ。どうせあのことだろ?」

後ろから来る奴に振り向きもせず舌打ちをした。ここのところその話題しか無かったからすぐ分かる

「じゃあ今夜ユウ来てくれる?」

「嫌だ」

えーと不満を漏らすソイツの後ろからは賑やかそうな団体の声。またかと思いながら心の中で舌打ちした

「ねぇ、明日皆でパーティーしようよー」

「んー楽しそうさ」

「じゃあ来てねー」

派手な女や今時風な奴等が集まってるけどコイツはそんな奴等とも付き合いがあるし知り合いが多い。わざわざ俺じゃなくてもたくさんいる

敢えて俺じゃなくて違う女でもいいのにと思うのに

「でも俺は……ってあれ?ユウ?」

俺に執着するのが分からないし、ただからかうのなら俺に近寄るな。分からない感情に潰されそうになる自分がいるから

「…知らねぇよ、馬鹿」

早足で構内を歩き自分の学部に行く。早く忘れてしまいたい明日のこと。鳴り止まない携帯の電源を切って振り向いてもいるわけはなかった

違う学部だからいるはずもないし追い掛けてくるわけもないのに

「馬鹿は俺か……」

結局、帰る時間になっても現れず道場に寄ってから自分の家に帰る頃にはすっかり日は落ちていた

「……」

鍵を取り出せば開いてる部屋の鍵。こんな芸当が出来るのはアイツだけ

「あ、お帰り」

「……んでいやがる?お前サークルで……」

並べられたケーキやご馳走に呆れて口を開けば不思議そうに首を傾げられた

「何で?あんなん俺行かないさ。ユウのほうが大事だし」

「それが分かんねぇんだよ…何で俺が……」

俺の手を引っ張って触れるだけのキスをして満足そうに笑った

「だって恋人はユウしかいないし祝って欲しいのもユウだけだもん」

「っ…意味分かんねぇ」

「いいよ、また分からせるから」

やっぱり敵わない。何に怒っていたのか段々分からなくなる…と毎回このパターンだ

「ユウプレゼントは?」

「ねぇよ……」

「ユウのことだから鞄の中かな?」

鞄を漁って見つけた包みにまた嬉しそうに笑った。俺は流行なんか知らないから適当に選んだサングラスだけどありがとう、と大事そうに握り締める

「ラビ」

「ん?」

「…とう……」

「え?」

きっと聞こえてもアイツはただ笑う。嬉しそうに満面の笑みを

END

ラビュ



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