ルクアシュお礼文です。
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宿の一室で、ルークはベッドに腰を下ろし、同じように向かいに座るアッシュの手を取った。
室内の灯りはベッドサイドの淡い光のみで、小さな光源に照らされたその行為は、どことなく甘さを含んだ神聖な雰囲気にも思えた。
が、
「何してんだ」
アッシュの冷めた声音に、部屋の空気も一瞬にして現実に返る。
それでもルークは手に視線を向けたまま答えた。
「こうやって触れたら、アッシュの考えてることが分かればいいのにと思って」
俺からじゃ全然回線繋げられないし、とマイペースに続ける。
それにアッシュは目を眇めた。
「それで現実逃避か」
「逃避って言うなよ。所詮夢って思っても願ってみたくなることあるだろ」
言葉こそは冷たいが、アッシュのどことなく面白がっているような口調に、ルークも口を尖らせながら軽く返す。
「…口だけは減らなくなってんだな」
「うるへえよ」
今度こそ笑いながら返して。
ルークは提案するように言った。
「な、今日はこのまま手繋いで寝ていいか」
「ガキくせえ」
途端にアッシュの手が離れていく。
それを追いかけるようにルークは言い募った。
「いいだろ。もしかしたら同じ夢見れるかもしんねーじゃん」
再度手を取ろうと伸ばされるルークの手を避けつつ、アッシュは眉根を寄せる。
「ありえねえ。しかも同じ夢なんて気持ち悪いだけだ」
「ひでえな」
どこまでも平行線で。
どこまでも一方的に一刀両断される遣り取りだったが。
お互い、どことなくそれが心地良いリズムのように感じて繰り返す。

やがて。
二人してベッドに転がる。
天井を見上げるアッシュの投げ出された手に、ルークはそっと指を絡めた。
アッシュの視線がルークの方へ向けられる。
「へへ」
それにへにゃりと笑って見せると。
小さく溜め息を吐きながらアッシュは視線を戻して目を閉じた。
諦めたのか、たまには許してくれるのか、指はそのままにされていて。
ルークはまた小さく笑って、嬉しそうに目を閉じる。

朝まで指が離れないようにと、
絡ませた指に、ほんの少しだけ力を込めた。





『夢を見る夜』 2008.01.

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