拍手をどうもありがとう!


「食事に身が入っていないようだが」

いつものように、シェールとふたり夕食をとっているときのことだ。今日の息子は口数が少なく、そうかと言って無心に食べているわけでもない。ふわふわと落ち着かない様子で、こちらを窺っていた。

「へ?あ、えーと、その…」

「込み入った話なら、出来れば食事の後にして欲しいところだが」

自分で水を向けておいて何だが、あからさまに狼狽する息子を前に、タリウスは及び腰になった。大方、厄介事を持ち込んできたに違いない。

「昼間、学校で罰を。痛くてたまらないんだけど、立って食事をしても良い?」

「だ、駄目に決まっているだろう」

予想していなかった告白に、タリウスは思わず吹き出しそうになる。

「でも」

「そんな行儀の悪いことをとうさんが許すと思うのか」

「ううん、思わない」

なおも食い下がるシェールをバッサリと切り捨てると、息子は悲壮に満ちた表情を見せた。

「何をしでかしたのか知らないが、無実の罪というわけではないのだろう?」

「うん」

「だったら、それも含めて罰と思え。席を立ったら最後、部屋に戻ってもらうぞ」

「わかった」

食堂の椅子は堅い。既に息子の尻は限界のようだが、それでも今ここで立ち上がったら後々絶対に後悔することになる。しばらくは息子の内なるせめぎあいを見物していたタリウスだが、自らの食事が終了すると共に席を立った。

「待って、とうさん」

すると、そんな自分をシェールが制した。

「部屋に戻るなら、クッション取ってきて欲しいんだけど」

「お断りだ」

「そんな、お願いだよ」

「そんなもの、自分で行けば良いだろう」

「良いの?」

「その代わり、食事が済んだら、何をしでかしたのか白状してもらうぞ」

窮地に陥りながら、懸命に考えたのだろう。行けと顎をしゃくりながら、込み上げてきた笑いをタリウスには堪えることが出来ない。

「笑わないでよ、もう」

~Fin~  2020.7.27 タリウスは、基本反省さえしていれば、他所で叱られてきたことに追い討ちを掛けたりしません。



よろしければひとことお聞かせください♪お返事はブログから差し上げます。
お名前
メッセージ
あと1000文字。お名前は未記入可。