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「一体何の騒ぎだ!騒々しい」

タリウスは廊下に出るなり、苛立ちに任せて怒鳴り散らした。ただでさえ気圧のせいで頭痛が悪化しているというのに、先程から何者かが諍い合う声がうるさくて、書類仕事が手に付かないのだ。

「ジョージア先生?!す、すみません」

「申し訳ありません。オーデン教官と指導方法について議論していたら、つい熱が入ってしまいました」

すぐさま若い教官がふたり、慌てて教官室から飛び出してくる。オーデンとディランである。

「議論するのに、怒鳴り合う必要がどこにある。だいたい何故ドアを開けたままにしている」

軍人、殊に教官は、その職務上、普段から声が大きくなりがちだ。そのため、話の内容を聞かれないよう、扉を閉め切るのが常だ。てっきり廊下でやりあっているとばかり思っていた。

「オーデン教官は女性なので、そういった配慮も必要かと」

「そんな配慮、要りません」

「お前のためじゃない。後でガタガタ言われないために、自衛しているんだ」

「はぁ?!」

もはや一触即発、そう思われた瞬間、ピカリと目の前が明るくなり、建物が揺れた。

「黙れ!!」

特大の雷が二発、落ちたからである。

「お前たちの言う議論とやらは外でやれ」

「で、でも外は…」

窓の外に視線を向けると、落雷と前後して、目の前が見えないほどの大雨が降り出していた。イサベル=オーデンは既に泣きが入っている。

「私はともかく、ディラン教官はまだ怪我が治りきっていません」

「俺のことなら平気だ」

ディランもまた目が泳いでいる。

「ならば、軒下に行って、仲良く頭を冷やして来い。今すぐにだ!!」

「はっ!」

「承知しました!」

再び雷鳴が轟き、若き教官たちが弾かれたように敬礼した。そんな彼らを見ていたら、何故だかチクりと胸が痛んだ。

~Fin~ 2025.9.7 
でも、イサベル的には、やさしくて紳士的なアドリーが気になっている、のはまた別のお話w



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