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「ねえ、とうさん。今暇?手合わせして欲しいんだけど」

またその話か。いい加減面倒になって、タリウスは答える代わりに、思い切り非難の目を息子へ向けた。

「別に稽古つけてくれなくて良いから。背が高い人と打ち合いしたいだけ」

「あのなぁ、シェール」

言いたいことはわかるが、それにしてももう少しほかに言いようがある筈だ。全く父親をなんだと思っているのだ。

「良いじゃん、それくらい。ミルズ先生はやってくれたよ?」

「お前、そんなことを先生に頼んだのか」

「うん。先生言ってたよ。その気になったら、いつでも弟子にしてくれるって」

「は?」

刹那、満面の笑みで模擬剣を構える上官が目に浮かんだ。可愛い『孫』の頼みをゼイン=ミルズが無下にするわけがない。

「だから、シモンズ先生に破門されたとき、ホントはミルズ先生のとこに行こうと思ったんだけど、でもその前に一応ちゃんと謝ろうって思って。そしたら破門じゃなくなったから、ミルズ先生にはお願いしなかった」

「そんなことを考えていたのか」

たまたま今回はシェールがまともな判断をしたから良かったものの、一歩間違えば事はかなり拗れただろう。タリウスは俄に痛み始めたこめかみを押さえた。

「大丈夫、とうさん?頭痛いの?」

だが、当の本人は事の重大さがわからないのだろう。少しも悪びれることを知らない。

「誰のせいだよ…」

「難しい本ばっか読んでるからだよ。たまには一緒にあそぼうよ」

「何をして?」

「チャンバラ」

「だから…」

タリウスの頭痛は当分治まりそうにない。

~Fin~ 2022.12.25 「立志」の後日談より




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