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タリウスが警護部への訪問を終え、城から辞そうとしたとき、キール=ダルトンもまた、役目を終え引き上げるところだった。並んで回廊を歩きながら、タリウスはふいに口を開いた。

「ところで、ダルトン。先程から気になっていたんだが」

「はい?」

「お前、傷の手当てはしたのか」

「え?」

キールはきょとんとして、こちらを見上げてきた。部下、アドリーの話振りでは、この教え子もまたそこそこ負傷していてしかりだ。それもあって、部下も兵舎に連れ帰ろうとしたのだろう。

「着替えたときにちょっとみましたけど」

「まさかそのままにしているのか?」

「俺の怪我なんて、そちらの教官に比べたら…」

「獣の傷を甘くみるな。命取りになるぞ」

これだから警護部は平和ぼけが過ぎる。口の中で毒づくと、タリウスは教え子の腕を掴んだ。

「どこへ行く!医務室はあちらだ」

「で、ですけど、今行っても医師は不在だと思います」

「ならば、俺が診てやる。不満なのか」

「ま、ま、ま、まさか!申し訳ないと思っただけです」

盛大に取り乱すさまは、訓練生時代と大差ない。タリウスは思わず笑いそうになるのをどうにか堪え、医務室を目指した。

教え子の読みどおり、医務室には誰もいなかった。キールを診察台に寝かせ、衣服を捲ると、想像したとおり凄惨な傷跡が目に飛び込んできた。

「いいか、触るぞ。痛むと思うが…」

「平気です。もうこどもじゃなっ!?いってぇぇぇえ!!」

「だから、言っただろうが」

こどものようにのたうち回る教え子に、堪らず破顔した。

「うわ!すいません!すいません!!」

「何故謝る?」

「え?なんか、先生に痛いことされると、つい謝っちゃうんですよね、何でですかね」

「そんなことはお前が一番わかっているだろう。全くどれ程手を焼いたか」

「すいません」

「そのお前に、助けられる日が来るとはな…」

「すいません」

「だから、何で謝るんだ!」

「すいま………」

「ヲイ!」

~Fin~ 2025.9.7 
「続鬼の神髄21」のあとで。たぶんこの二人はもう一生こんな感じ。



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