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「ただいま!!」

「ああ、おかえり」

もうそんな時間か。タリウスは剣の手入れを中断し、息子を迎え入れた。

「ごめん、とうさん。間に合わなかった」

息子は肩で息をしながら、申し訳なさそうにこちらを窺った。言うまでもなく、間に合わなかったのは門限だろう。

「全く、仕方のない奴だな」

「それで、ここからお願いっていうか、相談なんだけど」

「何だ」

「明日、結構大事な試験があって、出来るだけその、集中したくって」

「それで?」

言いながら、タリウスはほんの一瞬、視線を下に落とした。剣が鞘から離れスチャと音を立てた。

「そ、それで、もし出来たら明日まで待ってもらえないかなって、そのお仕置きを…」

シェールは顔をこわばらせ、震えながら言葉を絞り出した。何故か両手で尻を庇っている。

「お前、お仕置きさえ受ければ門限なんぞ破って良いと思っているのか」

「そ、そんなこと思ってないよ!!ただ今日はちょっと運が悪くて。後悔しないように、一応聞いてみただけ」

「何回だ」

「二分だから、二回。やっぱりダメ?」

「今回だけだぞ。罰の貸し借りは好きではない」

「わかった!ありがとう」

シェールは心底ほっとして、自分のベッドへと下がった。

「本当にイイコに育ったな。たかだか二分、いくらでも誤魔化せただろう」

「それ、とうさんが言う?」

息子の声音は、どこまでも冷ややかである。

「あ、いや、つい」

うっかり心の声が漏れ出たのだ。

「それに、イイコに育ったんじゃない」

「うん?」

「育てられたんだよ」

シェールはさも不満げに、かつ鋭くこちらを威嚇してきた。つい先程まで、震え上がっていたのが嘘のようである。

~Fin~ 2026.7.5 
この緩急、タリパパに似てきましたね。



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