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「楽しそうね」

肌を打つ甲高い音に黄色い悲鳴が二人分。扉を一枚隔てた向こうで、一体何が行われているのか。容易に想像出来るだけに、ミゼットは苦笑いを漏らした。

「自分のときを思い出すかい?君も似たようなことをしでかしただろう」

「忘れたわ、そんな昔のこと」

隣を歩いていたゼインが意地悪く問うも、ミゼットはあくまで素知らぬふりを通す。

「その割りには、未だに指導記録を盗み出そうとしているそうじゃないか」

「そんなことしてない」

「どうだか。君のことは誰より信頼しているが、これっぽっちも信用していないよ」

「ちょっと、それが妻に言う台詞?」

それまで前だけを見詰めていたミゼットだが、流石にこれにはカチンときたのか、抗議の意で夫を見上げた。

「そんなことはお互い様だろう」

この局面で、誰より信用しているとはとても言えない。何より図星だ。結果的に無言になったことを夫は異議なしととったようである。余裕の笑みをたたえるゼインを横目に、ミゼットは憮然とした表情を見せた。


~Fin~ 2020.5.15 「硝子」の裏で
「部下は信頼しても信用しない」私自身が新人の頃、上司に言われたセリフだったり。



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