拍手お礼ss【りんさく】 ある晴れた土曜日の、ある日。 「六道くん」 透き通る様な綺麗な声が、りんねの耳に入る。 ああ、とずっと聴き続けていたかったが、それを実行に移すと無視したと勘違いをされる恐れがある。 そのような勘違いはごめんだ。 「何だ?真宮桜」 くるりと振り向くりんね。 顔は真顔だが、心臓はバクバクである。 にやけを必死に抑える。 「りんねくん」 「…え…!?」 「あ、ごめん」 何がごめんなんだ、と桜がますますわからなくなってきたりんね。 もしかして自分に過失があるのか、と必死に過去の記憶を探る。 「何か、呼んでみたかっただけだよ」 一言、桜が言う。 「そう、か」 その時、何だか桜が無性に大人っぽく見えて、 黒髪と対照的に、桜の頬が少し赤い気もして、 そしてそれを見て、また真っ赤になっている自分もいて、 余計に分からなくなった。 「これからりんね君って呼ぼうかな」 「…」 ちょっとだけ、 心臓が持つかなと心配したけど、 君の声は聴いててとても心地よくて、 だから余計に。 ―いつか君の名前を、 呼んでみたいと思ったんだ 次クリックでイラスト(あかね) |
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