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    光のもとで / 第5章02話【Side Tuskasa】の【Side 茜】

    翠葉ちゃんを見つめる司を見ていると、ひどくやるせない気持ちになる。
    好きなら好きって伝えればいいのに。秋斗先生みたいにストレートに行動に移せばいいのに。
    そんな勝手な感情が湧いてきて仕方ない。
    理由はわかってる。
    私が――私自身が自分の恋愛とうまく向き合えないでいるから。だから余計にそう思ってしまうだけ。
    本当に自分勝手。
    でも、「これが初恋」という司には諦めないでもらいたい。「好き」という気持ちを諦めないでいてほしい。
    あぁ……嫌になるほど自分勝手。
    自分とは全く異なる境遇にいる司に、自分と同じ選択をしないでほしいと願っているのだから。
    私の好きな人は翠葉ちゃんじゃない。でも、司の気持ちに共鳴している私の心は翠葉ちゃんを欲していた。
    そこへ桃からの連絡。
    ピンときたわ。桃は絶対にいい風を持ってくるって。
    案の定、桃が持ってきた企画はとても都合のいいものだった。
    翠葉ちゃんのお誕生会に姫と王子のお披露目を兼ねるというもの。
    今年の姫は私と翠葉ちゃんと決まっていたし、王子は今年も司。これ以上にない舞台だわ。
    司、何がなんでも翠葉ちゃんを生徒会に入れましょう?
    私たちはまだ子供で、大人に敵わない部分がたくさんあるけど、大人には手出しのできない聖域だってあるでしょう?
   「学園」は私たちの聖域よ。大人が決して上がってくることはできないステージ。
    だからこそ、翠葉ちゃんにはそのステージ中央に立ってもらうわ。
   「いいわね。……そのときに生徒会就任式もしちゃわない?」
    にこりと笑って提案すると、
   「……茜先輩、今度は何を企んでるんですか?」
    隣から司にじとりと睨まれた。
   「司、外堀から埋めましょ? 周りを固めてしまえば絶対こっちのものよ?」
    絶対に逃がさない――。そんな気持ちをこめてクスリと笑った。
    司、怖い顔してたらウサギさんは逃げていってしまうわ。だから、捕獲したい目標物の前では常に笑顔でね?
    ……なんてね。全校女子生徒が喜んでも私は喜べないわ。だって……笑顔を絶やさない司なんて薄気味悪いもの。
    私、司の人の言葉や意見、感情に動じないところが好きなの。
    ……そんな司がどうやって彼女にアプローチするのかはとても興味がある。
    これからも観察させてもらうわね。そして、応援もしてるから――。

           
     イラスト:涼倉かのこ様



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