あついひざしがてりつける夏。今日も二人は元気にコートをかけまわっていた。ただしくはかたほうが、かもしれない。


「おいおいチビスケー、話になんないぜー?」


トントンとラケットで肩をたたくそいつに、ぷぅーっとほっぺをふくらませる弟。


「りょーがのばか!」

「バカって・・・おまえどこでそんな言葉覚えたんだよ」

「おやじ!!」

「父さんのばか・・・」


まだ小さいリョーマにそんな言葉覚えさせて。母さんにばれたらこってりしぼられるだろうなぁ。


「よっこらせっと」

「もう終わり?」

「チビスケじゃ相手になんねーよ。それともおまえがやってくれるか?」

「んー・・・今日はいい」


なんとなく気分じゃない。リョーガはわたしのとなりにおいてあったオレンジを手にすると、「だろー」と言って思いきりかぶりついた。


「おれもおれんじたべる!!」

「はいはい、リョーマのぶんもちゃんとあるから」


オレンジを渡すと、にっこりと笑って「ありがとう!!」と言う。


「はぁーっ、やっぱオレンジはうめーな!」

「そうだねー」


採りたてだから特においしい。


「夏ってさー、何色だと思うよ?」

「なに、とつぜん」

「いいからこたえろよ」

「青、かなぁ・・・」

「おれはさー、オレンジ色だと思うんだ!」


言ってまたかぶりつく。


「オレンジ色?・・・あんた夏にオレンジが食べられるからそんなこと言ってるんじゃ・・・」

「まぁそれも無くはないけどよ。青だって、海とかだろ?」

「・・・まぁ」

「オレンジは、太陽の色じゃね?」

「いわれてみれば・・・」


遠く高く輝く太陽を見上げる。まぶしすぎて、ちょくせつみることはできないけど。


「サンサンと照る太陽の色だと思うんだよな、夏は!」

「それとオレンジ?」

「おう!」


ホントにオレンジ好きだなーと、ぎゃくに感心してしまう。
リョーマをみれば、よく理解できていないのか、首をかしげていた。そのうちわかるよ、と頭をなでると、首をかしげたままうなづいた。


太陽を見上げる。

あぁ、たしかに、夏の色、かもしれない。



















「・・・で、意味わかった?」

「全然」

「あはは・・・まぁ、リョーガってちょっとずれてるからね、感性が」

「ちょっとどころじゃないと思うけど」


照り付ける太陽を見上げる。

あの夏と同じように、太陽はサンサンと輝いて、オレンジの色だった。









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夏色オレンジ




お題配布元

はちみつトースト

5title 果物




テニスの王子様 Going My Way より
越前ユーリ(夢主)、越前リョーマ、越前リョーガ




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