どうしたの、こんな時間に?
眠れないかい?

…ああ、俺はちょっと目がさえちゃってね。
夜更かしついでに、月見酒と洒落こんでいたところさ。

ほら、御覧。今日はとても綺麗な満月だ。
眠れない者同士、一緒にささやかなながら月見の宴といこうか。

こっちにおいで。寒くはないかい?

それにしても…――……ふふっ。
……え?何がおかしいのかって?

いや、何。思いもよらぬ、贅沢な夜になったと思ってね。
だってさ、一時に、2つの月を眺められるなんて、最高の贅沢だと思わないかい?

ねえ、俺の望月。月の姫君。

よもすがら 月を見顔に もてなして
心の闇に まよふ頃かな

願わくば、今宵はずっとこの腕の中に留まってくれないか。
月の都よりもなお、美しい夢を、見させてやるから。

≪遙かなる時空の中で3・ヒノエ≫



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