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俺の中で積もり積もっていくお前の声が、鼓膜に直に届いてきて煩わしい。
煩いから喋るな、少しは黙っていろと口うるさく言ってはみても、何もこいつには通用しない。
喋らなくても顔がウルサイ。
無駄にIQの高い脳味噌も音を聞くための大切な器官である耳も、
ふざけたこの女には飾りにしかすぎず、余計に俺を苛立たせる。
人の表情をも読み取って、わかっていてワザと急に大きな声で喋りかけてくるから正直いって性質が悪い。
性格は激悪だ。

「瀬文さん、ちょいときてくだせえ」

そう言って白い指がちょいちょいと俺を手招きする。
素直に腰をあげる俺は、暑さでとうとう頭がおかしい。
罵倒してやる気力も根性もへこたれている。
夏バテだ。
バテてんじゃねえ、俺の体。

胡散臭いドヤ顔の当麻が、近づく俺にふふんと嬉しそうにしてみせる。
分かり易い奴。
お前も頭がどうかしてるな当麻。

行ったところで何て事はない。
そのまま、手と同じだけ白い腕が伸ばされて、俺の頭に当麻が触れる。

「冷てぇ」

やっぱり暑苦しいだけの女。

***
お題、鼓膜を擽る大好きな声・あなたが好きです・手招きする指の美しさ』

2/07/27



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