このごろの高杉はというと春雨だの夜兎だのと躍起になって、基本的に引きこもりの彼にしては意欲的に、むしろ貪欲に空を飛び回っている。
鬼兵隊としては強力な後ろ盾を得て喜ばしいところなのだと思う。
しかし私からすれば全くもって迷惑極まりない。なぜって。高杉が私のことをほっぽっているからだよちくしょう!
彼女と仕事とどっちが大事なのよ!なんて陳腐な台詞を突きつける気なんてないけれど、もう少し彼氏らしいことをしてくれてもいいはずだ。
そうだ、拗ねてみよう。
浮かんだ妙案できっと慌てふためいて謝る高杉を見ることができるはず。これぐらい、可愛い復讐だよね。

総督室の前を通るとちょうど高杉と鉢合わせた。寝不足なのか目の下にうっすらと黒いものが見える。

「あ、おい暇なら河上を俺の部屋に呼んで来い」

「‥」

「聞いてんのか」

「自分で行きなよ」

「は?」

「暇じゃないもん」

「てめェ」

「私あんたの便利屋じゃないもん彼女だもん」

「‥おい」

「うるさいばか杉!あんたなんか彼氏失格だよあほ!そんなに夜兎が好きなら夜兎の可愛い彼女作ればいいよ!もう嫌い!」

さすがに言い過ぎだと思っても涙が零れるばかりで止まらない。
こんなの嘘だ。だけど無性に腹が立って彼を突き放して思い切り冷たくしたくて、ごめんねと思いながらも彼に伝えられない。

「ったくこの構ってちゃんがよ」

私の身体は瞳から溢れ出すぬるい水に構うことなく、彼の体温を持つ二本の腕に包まれた。
それは私が彼に突き刺した冷たい言葉も全て変えてしまうような。


バニラアイスが
溶けるみたいにね

そうよ私はきみだけの構ってちゃん



110424



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