(全三種 順番:ヴォルデモート→ハウル→リーマス)


01 静寂からきみを守るよ

(ヴォルデモート)



雨が降ってるね。

そんな風に話しかけてみるけど、
明け方に近い深夜に帰ってきたヴォルデモートは返事をしてくれない。
帰ってくるなり、貴方を待っていたわたしの頬にキスをして、
あなたは泥のように眠ってしまった。

貴方はとても忙しい人で、
どうしてそんな風にしているのかとずっと見ていて気付いたの。
起きている時、貴方はいつだって何かしてるのね。
わたしと話している時、貴方は絶対に黙らないのよ。
色々な事を話して、色々な事をわたしに話させる。
初めは忙しない人なだけだと思ってた。

でも違うわね。

「ヴォル?ねぇ、リドル。」

昔の名で呼んでみても、彼は小さく呻くだけ。
貴方の毎日は忙しないから、余ほど疲れているのね。

わたしが居ると安心して眠れると言ってくれた。
誰のことも信じられないって言っていた貴方から、
そんな言葉を聞けるなんて思ってもなかったわ。
わたし、それだけでこの人生を選んでよかったと思えたの。

「わたしが、守ってあげるわ。」

静寂を嫌う貴方を、この明け方の静寂から。
貴方は孤独じゃないわ。
彼を抱きしめて、わたしも眠りに付いた。

Title by fio




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