(また、や)


心地良い日差しと風に誘われて眠りに身を任せた屋上で。

温かい、柔らかなものに包まれているような、そんな夢を見た。

幾度となく繰り返されるその柔らかさは、心の底から、ひどく懐かしさすら覚えて。

いつしかそれが薄れていく頃、その温もりが欲しくて、目が覚めた。



「…犯人はお前かい」

目を開いた先に映る、風でふわりと舞う茶色掛かった髪。

いつもそこからのぞく強い瞳は、瞼で姿を隠している。

そこから肩、腕、手首へと視線を這わすと。

自分よりも、少し、大きな掌。

その長い指が、自分の金色の髪に絡められていた。

そして全てを悟る。

大方、この髪を触っている途中で眠くなったのだろうと。

それは、起きていても同じだった。


無意識に、手をのばしてしまうのだ、不破は。

その時は何を考えているのか少しも分からない表情で、ただただ触れている。

その中に特別の意識が込められている事は、ほとんどなくて。

それはきっと、小さな子どもの手と同じで。

不思議なもの、興味のあるものに触れてみたいと思う、本当に純粋な欲求。

心の準備が出来ていないときは、これほど無く驚いてしまうというのに。


「…次から金取るでー」

なんて言いながらも。

その手を邪険に振り払いながらも。

どこかくすぐったさと同時に、認めざるを得ない安堵感が、自分の中で沸き起こる。


(また、や)


それは、不破の癖と自分の心両方に掛かる、優しいキモチ。



未だ珍しく起きる気配の無い不破の、その指に自分のそれを絡めて。



指先から伝わる熱に誘われるまま、再び、瞳を閉じた。









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