よく耳にする10の罪
武器の所持は、本来犯罪に対する抑止力とすべきものだという。
だからこそ海軍にはたくさんの海兵がいて、そこにいる人間と同じ数だけ様々な武器が存在するのだ。
正義というものは立場によって変わるが、本来は「犯罪や弱い者を悪辣な犯罪者たちから守る」ことを基本としている。
島に暮らす普通の人間は武器を所持することがない。
そんなものを持つ意味がないからだ。
ならば、なぜ武器を所持するのか?
もちろん、万が一それらを持つ者に襲撃された場合の対抗策とするからに他ならない。
「そんな風にね、武器を持たなくても平和に暮らせる国があるんですって」
「ほお」
「国の防衛機構の体制もしっかりしていて、夜でも犯罪に巻き込まれることもないなんて理想的よねー。このグランドラインなんて、昼間だって女の子がひとり歩きなんてしてたらあっという間に人攫いとか出そうだもの」
「・・・ほお」
「特にこんな美人は」
「・・・・・・・・ほお」
「・・・・・ナニよ、その間は」
海図に描かれている島や国は数多い。
いろんな機関に加盟し、それらと折り合いをつけながら人々は暮らしている。
けれど、それが100%だなんて誰が言い切れるだろう。
もしかしたらそこに載っていない、未知の島や国もあるかもしれないのに。
そこでは1年中平和で、何の心配もすることもないかもしれない。
そう、ナミのように、幼くして家族を失い、唇を噛んで生きることもないかもしれないのだ。
「いいわよね、そんな国があったなら・・・」
「何だ、急にしおらしくなりやがって」
「いいじゃない、何となく過去を振り返っても。まあ・・・ウチのクルーたちには誰も無縁な世界だけどね」
それを悔いているわけじゃない。
過去を変えたいわけでもない。
ただ。
ただ・・・。
「もしそんな国に生まれてたら、誰も泣かずに済んでるのかなって思って」
「・・・羨ましいのか?」
「そんなんじゃないわ。いろんなことがあって、今の航海暮らしだって楽しいわよ。でも、波乱万丈すぎて逆に困るけど」
人間が生きるのは経験値の積み重ねだ。
たくさんの辛苦も舐めたが、それらすべてが糧となり、今のナミがあるのだから。
「海軍のは一応面目上抑止力って意味があるから持ってるんでしょうけど、ゾロが持ってるそれって大業物だったんだわよね?」
「あー、まあ、一応全部な」
「知ってる? そういうの、銃刀法違反って言うのよ?」
今や海賊狩りならぬ、麦わら海賊団の攻撃隊長とも言うべきゾロのスタンスは「三刀流」が当たり前。
普通なら1本、行ってせいぜい両手に構えた二刀流という常識を覆し、がっちりその歯で支えたもうひとつの刃をしなやかに舞い踊らせる。
「てめぇの棍だって人のこと言えるか」
「なにがよ」
「そんな水着か裸か判らんような恰好してるくせに、丸腰かと思えばいつの間にやら棍棒振り回してんだろ。一体この薄着のどこにんなもん隠してんだよ」
以前はキャミソールやら普通のシャツやら着回したが、今彼女の上半身を覆うのはビキニのトップのみだ。
しなやかな足はぴったりとしたパンツ仕様なので、傍から見たら本当にどこにあんな長い棍が隠されているのか判らないに違いない。
「さあ・・・どこだと思う?」
にんまりと笑う笑みは艶然としたもの。
長い髪を掻き上げ、その様は誘いに満ちた娼婦のようだ。
「へえ、確かめてもいいのか?」
「それは、あんたの心掛け次第ね」
「――上等だ」
無骨な手が、傍らの女の足に伸びる。
ゴス!
ほぼ同時に、背後から翡翠の頭に痛烈な踵落としが飛来した。
「エロ魔獣が! 真昼間っから女神を前にして隠し銃刀法違反してんじゃねぇ! てめぇの万年四刀流は洒落になんねーんだっつーの!」
ゴゴン!!
「な、ナミさん、なんで・・・ッ」
「サンジくんだって似たようなモンでしょ、同じ男なんだから!!」
「その“四刀流”で啼いてんのは、一体どこの誰だと・・・」
ドカグシャメコッッ!!
所詮は男――似たり寄ったり。
01.銃刀法違反
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うん、まあ、ゾロだしね、魔獣だしね、そこにいるだけでエロいしね☆
そういう意味ではゾロもサンジも変わらず同類、同じ穴のムジナってとこでしょうか?(邪笑)
(お礼SSは3本あります)
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