ちょっと下品かもしれないさきょいづ






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「………これは、」
左京に手を出せと言われその手のひらに受け止めたのは小さな筒のような形状のものだった。シンプルなシルバーで特にこれといった特徴もなくていづみは首を傾げる。
「やる」
「…ありがとうございます?」
反射的にお礼の言葉を口にしたものの、もらって喜ばしいものなのかすらいづみには分からない。とは言え、基本的には根が優しい年上の恋人がいづみに与えるものなら悪いものではないはずだ。
じっと眺めてみるけれどやはりヒントは見つからず、いづみは何となしに匂いを嗅いでみる。
「あ、」
微かな香りにいづみは分かった!という表情を浮かべてその蓋を開ける。そうすれば、想像通りのものだった。
「アトマイザーですね」
シュッとひと吹きしてみれば、慣れた匂いに包まれる。左京のいつもの香水だ。
「どっかの誰かさんが寂しがるといけねぇからな」
左京がくつりと笑いゆるく目を細めて、いづみは小さく肩を揺らした。
ば、バレているのでは…そう思いつついづみは内心冷や汗が止まらない。実は前回左京が1週間ほど寮を留守にしていた時、左京が置き忘れていったハンカチを握りしめて眠った。左京の香水の匂いが残っていて、いづみの寂しさは紛れたし安心したのだ。魔が差したのかもしれない。
「ち、違うんですよ」
「あ?使い道は好きにしろ。別にオカズにしてようが気にしねえよ」
「……ち、違います!!!」
はいはいと流した左京にいづみはもう一度、「違いますってば!!!」と叫んだのだった。



更新日 20181028





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