予測不能・コントロール不可の感情
*Harry Potter*
「あーまたフられちゃったー。どうして僕はリリーに好かれないんだろう!」
うざったいほどのため息と、うざったいほど大きい独り言。
かまってほしいんだろうか?とも、思える。
「それはね、ジェームズ。きっと、あなたを好きじゃないからよ。」
「ひどい!それひどいよ、きみ!」
あれ?慰めようとしたのに、どうやら失敗したらしい。
珍しく静かな談話室の空間で、ジェームズはより一層うるさくなった。
「言い方を間違えたらしいわ、ごめんなさい、ジェームズ。」
「正しくは慰め方を間違えただけどね!さぁ!リリーの親友のきみの慰めを僕に聞かせて!」
「リリーはあなたのことを嫌いというわけじゃないわ。」
「うんうん!」
「嫌いだったら、リリーは避けるタイプだもの。近寄らないわ。」
「うんうんうん!」
興味深々に、目を大きく広げて、首を縦に振りながら、ジェームズは私の言葉に耳を傾ける。
そんなにも、リリーのお話を聞きたいのだろうか。
「…ジェームズ。慰めもいらないほど、あなたは元気に見えるけど。」
「そんなことないよ!僕は、とてもも傷ついているよ?リリーの言葉によって裂かれた胸が痛い…!」
「…落ち着いて、真面目な顔で、リリーに想いを伝れば良いのに。そしたらリリーは照れながら頷くわ。」
「ほ、本当かい!?」
「ごめんなさい、冗談です。」
「ひっひどい!!」
最近、ジェームズからリリーのことを聞くと、胸が痛くなる。何故だか、わからない。
どうして私は、リリーのお話をしてると、ジェームズが傷つくようなことばかり言うのだろう。
どうして私、本当はリリーがジェームズのこと、悪く思ってないってちゃんと言えないんだろう。
口が勝手に動くの、心が勝手に痛むの。 この予測不能で、コントロールできない感情はなに? |
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