浄八

















 ああ、馬鹿らしすぎて声も出ない。







「悟浄…」

「んあ?」

「これ、なんです」

 広げたままの雑誌を目の前にかざして、ひらひらと振ってやる。

悟浄の目は雑誌に釘付けになったまま、眼球だけがゆらゆらと左右

に揺れた。

「え、ああ、それ俺の」

「知ってますよ。貴方と僕の二人で暮らしてんですから」

「……え、じゃあ、何?」

 悟浄は若干戸惑いを含んだ表情で、何となく嫌な予感がするのか

口元はヒクヒクと引き攣ったまま笑っている。



「何?じゃありません。先日のコン●ームといい今回のこのエロ雑

誌といい、なにか僕への当てつけですか!」

「は!?いや、当てつけとか、そういうんじゃ…」

「じゃあ何なんです!」



 ああ、この煮え切らない態度、本当に苛つく。

 悟浄は、かなり焦った様子で、座り込んだまま後ずさった。



「いや、それはたまたま置き忘れたっていうか…」

「貴方ねえ、ちょっとはこう、気遣いってものはないんですか。一

応僕は居候って形になってますけど、居候にだってもっと気くらい

使えるでしょう!」

「えええー…何をそんな怒ってんの…」

 悟浄はすっかり引き気味だ。



「こんなこと言いたくはなかったですけど、僕、性欲が薄いんです

よ。こんな雑誌見たってちっとも興奮しないんですよ!」

「は、はあ?」

「それなのに貴方は…自分が健全だとでも言いたげにコン●ーム置

きっ放しにしたり、エロ本広げて外出したり……デリカシーっても

のがないんですか!」

「いや、そんなこと知らなかったし…」

 悟浄の後ずさりは、かなりゆっくりではあるが確実に僕から距離

を離していっていた。

 悪いことをしているという気がなければこんな反応はしないだろ

う。つまり僕に対して何か文句があるわけで……

「何がいけませんか。料理の味ですか?掃除の仕上がりですか?洗

濯物のたたみ方ですか?こんな遠回しなことせずはっきり言ってく

ださい!」

「どれも違……っていうか別に俺、そんな気で置きっ放しにしたわ

けじゃ…」

「問答無用!」





 悟浄の汚らしい悲鳴が、家中に響いた。







 それからというもの、悟浄は家を出る際、念入りに自分の持ち物

が出しっ放しになっていないかチェックするようになったとか……



 しかしその後、自分の性欲がその口うるさい母親みたいな八戒に

向くことになろうとは、悟浄は予想すらしていなかった―――




















 華麗に終。







 ……なんだこれ。



 えーつまり、八戒は花喃との一件以来 性欲が殆どなくなってしま

 い、ストレスも溜まっていたので妙にキレた、と。

 よくいますね、こういう何にでも問答無用でキレる人。(いない)

 ところで結局、あのコン●ームは何故あんなところにあったので

 しょう。謎は一つも解決されておりません。





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