山獄



「よっし、完成!」

ふうっと息をついて、オレは部屋の中央に設置されたコタツを見下ろした。

「早くスイッチ入れようぜ!」

オレの横で、獄寺がオレの腕を掴んで急かす。

「わかってるって。今コンセント入れっから」

スイッチを入れ、獄寺にコタツに入るよう促した。
獄寺はいそいそとコタツ布団をめくり、そこに入り込む。
オレもその向かい側に腰を下ろした。

元々、獄寺の部屋にはコタツがなかった。
それどころか、獄寺は日本に来るまでコタツを知らなかったらしい。
獄寺はけっこう寒がりだから、日本に来てオレやツナの家でコタツを知るなり気に入って、前から欲しがっていた。
そうしたら、オヤジの飲み友達の家で使っていない小さなコタツがあるからくれる、ということになり、めでたく今日、獄寺の家にコタツがやって来たのだ。

「うは、あったけぇ〜〜〜」

獄寺は満足げな表情で、コタツ布団に体を埋めている。
猫みたいですっげえ可愛い、なんてにやけていると、獄寺はもそもそと寝転んでコタツの中に肩まで入ってしまった。
当然、オレの視界から獄寺の姿は消える。

え?寝ちまうの?
ちょっと待って獄寺、オレはどーしたらいい?
てゆうか、好きな子にそんな無防備にされたら―――。

「……っ!?」

さわ、とコタツの中で何かがオレの膝に触れ、びくんとした。
……いや、何かっていうか、獄寺しかいないはず。
さてはコタツに潜ってイタズラするつもりだな、その手にゃのらねーぞ、とオレが一人意気込んでいると。

その感触はすりり、とオレの膝から足の付け根へと移動していき。
そうして、あろうことか、オレの大事な部分に触れた。

びっくん!と今度こそ思いっきり動揺する。
え?獄寺ってふざけてこんなことするヤツじゃねーだろ!?
エッチん時だって毎回すっげえ恥ずかしがるのに!

「………ぅあ」

大きくなりかけていたそれを思い切りぎゅむっと押されて、不覚にも声が漏れた。

ちょ、ちょっと獄寺、コレっていいの?
獄寺から誘ってくるなんて始めてでマジ嬉しんだけど!

オレが一人で興奮していると、急にその感触が離れた。

襲っちゃっていいんだろうか、とオレが獄寺の真意をはかっていると、ふいに獄寺が「ひゃあ!?」と声を上げる。

「山本っ!てめ、どこ触ってやがる!」

そう怒鳴りながら、獄寺はコタツから飛び出した。
当然オレにはワケがわからない。だって触ってきたのは獄寺の方で―――。



にょーん。



「「ん?」」

コタツの中から聞こえた鳴き声に、オレと獄寺は同時にコタツ布団をめくった。
中に顔を突っ込むと、コタツの中で毛づくろいをしている瓜の姿。

「瓜!てめーのせいかっ!いつの間に入り込みやがった!」

…じゃあ、何か?さっきオレの股間を撫でさすったのも、獄寺じゃなくて………瓜?

獄寺が怒るのに構わず、瓜はコタツの中でごろごろと丸くなっている。
獄寺はチッと舌打ちして。

「ったく、せっかく山本をからかってたのによ」

―――え?

一瞬言われた言葉が理解できずに、きょとんとする。
獄寺はオレに顔を向け、ニヤリと笑んだ。

「え、ちょ、まさかオレに触ってたのは瓜じゃなくて…―――」
「だったらどーする?」

そう言って、獄寺はイタズラっ子の表情で首を傾げる。

「仕返ししてみるか?」

あーもう、こういうのを小悪魔っていうんだろーな。
オレはガシガシと頭を掻き、獄寺のいるところまで四つん這いで移動した。

「誘ったの、獄寺だからな」

そう断りを入れ、その体を引き寄せてキスをする。
すると獄寺がオレの首に腕を回してきたから、これ幸いとばかりにそのまま細い体を押し倒した。

なんか今日ってすげえ幸せなんじゃねえ?
獄寺は素直だし、いつも邪魔してくる瓜はコタツに夢中で出てきそうにないし。

武士たるもの、据え膳食わぬわけにはいかねえ、っつうか。



んじゃっ、いただきます。





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