ディノヒバ



「ワオ。死体発見」

真っ白な校庭に埋もれている人間を発見して、雲雀は口を開いた。
体は半分ほど雪に埋まってしまっているが、キラキラと目立つ金の髪は間違えようがなかった。

「ねえ、生きてる?」

呼びかけるけれどまったく反応がない。
雲雀は呆れ顔で息をついて、思い切りその体を蹴り飛ばした。

「ぎゃあああっ!?」

ようやく意識を戻したディーノが悲鳴を上げながら吹っ飛ぶ。
ごろごろと雪の上を転がったディーノは、痛ててと腰をさすりながら立ち上がった。

「何すんだよ〜」
「目障りなところで倒れてるからでしょ」
「だからってもうちっとマシな起こし方が…」

体中雪まみれで、ディーノはぶつぶつと文句を言っている。

「なんで校庭に埋まってたの?」
「えーと、なんでだっけか……応接室に行こうとしたら正面玄関が閉まってて……そうそう、そんでそこの非常階段から入ろうとして、足を踏み外したんだ」

相変わらずなダメっぷりに、雲雀は頭を押さえた。
自分が発見しなかったらこのままあと数時間は雪に埋まっていたことだろう。

「風邪ひいても知らないから」

そう言いながら、雲雀はディーノの体の雪を払った。
だが、ディーノも学ラン姿の雲雀を見て眉をひそめる。

「恭弥こそ薄着じゃねーか」
「平気。体温高いから」
「どれ」

ぺとり、とディーノの手のひらが雲雀の頬に触れた。
氷のような手のひらに、雲雀の体がびくんとする。

「おっ、ホントだ。あったけ〜。やっぱ子どもは違うな〜」
「あなたが冷たすぎるんだよ。この手、凍傷になりかけてるんじゃないの?」

雲雀はディーノの手を両手で包むと、はぁと息を吐きかけた。

「…なに?」

ディーノの熱心な視線に気づいて、雲雀がその顔を見上げる。

「いやー、なんかこうしてっと恋人同士みてーだなと思ってよ」
「なにを馬鹿なこと」

ぼそりと呟いて、雲雀はぷいと背中を向けた。
そのままザクザクと雪の上を歩いていく。

「待てよ、恭弥!オレも一緒に……どわっ!?」

慌てて追いかけようとしたディーノだったが、雪に足を取られて顔面から派手にすっ転んだ。
雲雀は額を押さえ、足を止める。
そうして、ディーノの方に顔だけ振り向けた。

「“みたい”を取るんなら待ってあげるよ」
「へ?」

ディーノは体はうつ伏せのまま雲雀を見上げてきょとんとしている。

「だから…」

わかっていない様子のディーノに、雲雀はじれったそうに眉をしかめた。
ディーノの傍まで戻ると、その正面にひざまずき、冷え切ったその顔に手を添える。
ちゅ、と軽く触れるだけの口付けをかわし、雲雀は丸く見開かれたディーノの瞳を至近距離で見つめた。

「僕を恋人にしてくれるなら……ってこと」



―――さあ、答えを聞かせて?





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