『誓いのリングに口付けを・・』

~雫x奈央~



「雫・・、こんなところで寝ちゃ駄目だよ」
奈央が浴槽の掃除を終えてリビングに戻ると、先ほどまではテレビを見ていたはずの雫がソファーの上で寝そべっていた。
「起きたいけど疲れた・・」
そう言われてしまっては、強くは言えない。
しかも、今日は金曜日で明日は休みということを考えると尚更無理やり起こすのは申し訳ないと思ってしまう。
「掛け布団持ってくるね」
立ち上がった奈央を雫が呼び止めた。
「奈央・・」
「何・・?」
「・・眠いけど、奈央がキスしてくれたら起きられるかもしれない」
寝そべったままの雫は、楽しそうに微笑みながら奈央を見つめる。
“雫の狙いはこれだったのかもしれない・・”とも思ったが、雫が疲れているのは確かなことであり、何よりキスをすることが嫌なわけがない。
頷いた奈央は、床に膝をつくと雫の唇にキスを落とした。
しかし、それは一瞬触れるだけのキス。
「足りないよ、奈央・・」
その言葉と共に、顔を離そうとした奈央の首に雫の腕が絡みついた。
引き戻されて強く唇が合わさる。
「んっ・・」
「奈央・・」
名を呼ばれたのを合図に、唇を舐め、歯列をなぞり、舌先が口内に入り込む。
浅く、深く、伸ばした舌を絡め合い、次第に甘い痺れが奈央を包み込んでいく。
ようやく唇が離された時には、奈央は熱い吐息を漏らしていた。
床に膝をついていた奈央であったが、雫に導かれるままにソファーの上に登る。
「奈央・・」
奈央の身体は雫の上に覆い被さっており、お互いの顔がすぐ近くにある。
熱を含んだ声で名を呼ばれ、抱き寄せられる。
耳朶をやんわりと舐めた後、首筋に噛み付いた。
ぞくぞくと背筋に甘い痺れが走る。
「・・雫」
ふるふると快感に身を震わせながら、熱をはらんだ瞳で雫をじっと見つめてしまう。
「何・・?」
雫は、楽しそうに微笑む。
「ベッドが良い・・」
「かしこまりました」
楽しそうに微笑んだ雫は、奈央の頬にキスを落とした。
そして、雫は奈央を横抱きにすると軽い足取りで寝室へ向かった。



□□□



たっぷりと愛された奈央は、ぽかぽかな余韻に包まれながら雫の腕の中にいる。
「しずく・・」
「ん?」
「疲れてたんじゃなかったの・・?」
胸元に収まってるため、雫を見つめる奈央は自然と上目遣いになってしまう。
「疲れていたし眠かったのも本当だけど、奈央がキスをしてくれたから目が覚めた」
その言葉に嘘はない。
奈央からのキスで本当に目が覚めた雫であった。
いつまでも初々しさが残る甘いキス。
奈央は、いつでも雫を夢中にさせる。
「良かったよ」
「・・僕も」
恥かしがる奈央も可愛くて、自然と笑みが零れてしまう。
背中に回していた腕を移動させて奈央の手を握れば、握り返される。
すると、今度は奈央が雫の左手を握ったまま布団から手を出した。
「奈央・・?」
「してくれてる・・」
奈央は、嬉しそうに微笑む。
そこに見えるのは、薬指に嵌められている銀色の指輪。
実感する度に嬉しくなってしまう。
「宝物だからね」
「うん・・」
顔を見合わせると恥かしそうに微笑み合う。
「大好きだよ、奈央」
奈央の手を引き寄せた雫は、指輪の上からキスを落とした。
ふんわりと微笑んだ奈央は、同じように指輪の上からキスを落とす。
大好きな気持ちが同じであることを伝えるために・・。



Fin






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