「花と言葉で10題」
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03.リンドウ「淋しい愛情」

「ねぇ、新しい人がきたって知っている?」
 同室のミキちゃんが話しかけてきた。
「うん。あ、でも先生じゃなくて医大生さん。実習に来たんだって」
「じゃあ、ずっといるわけじゃないね」
「うん。偶然会ったけど、一週間って言ってたよ」
「へぇ・・・長いじゃん」
「そうね」
 前に来た医大生さんは二日ぐらいしかいなかった。でも、彼は色々とやるらしい。
 話ながら、彼のことを思い出していた。困ったような笑顔がかわいらしかったなぁ。
「マコっちゃんてば!」
「・・・ん?」
 耽ってしまっていたのか、ミキちゃんが肩を叩いた。
「どんな感じだった?」
「そうね・・・優しそうかな。一緒にいたらほんわかする感じ」
「ほっほぅ・・・」
 ニヤリとミキちゃんが唇をあげる。
「さてはマコっちゃん惚れたなっっ」
「え?!ちが、ちがうわよ!」
「ふふふ、てれるなてれるな。いつもの鉄面皮に笑顔が浮かぶなんて、丸分かりですがなー」
「・・・・・・・・・・・」
 そんな風に言われるとこちらとしては黙るしかない。
「で、どうする?一週間しかいなんでしょ」
「え・・・・」
 そう一週間しかいない。でも・・・
「別にどうもしないよ。あっちだって勉強なんだし。私だって・・・治るかわかんないもん・・・」
「マコっちゃーん・・・」
 ミキちゃんがいつもの明るい笑顔を曇らすのをわかりつつも言わずにはいられなかった。
「いいの。この気持ちが知れただけで・・・・いいの・・・ねっ」
 窓に顔をそらすと、青紫の花弁が私の心のように小さく揺れていた。






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