《前回までのあらすじ》
▽凌統は周瑜と司馬師の御守りがめんどくさくなった
▽郭嘉が現れた
▽凌統はやる気をなくした
▽城内捜索パート終了


(なんか……めんどくせ~ことになってきたなぁ……)

宮城南門。司馬昭は、他三人によって牽き出される馬を横目にひとりごちた。仕官だけでもめんどくせ。と思っていたのに、人探しである。しかも顔すら知らない人物の。手掛かりになるのは明らかに誇張表現としか思えないくらいキラキラしく描かれた似顔絵?だけである。これでもう相当めんどくせー。と思うのに、さらにわざわざ馬で城外を駆けまわらなくてはいけないとなるとまたさらにめんどk。となるわけで、自然と溜め息が口をついてしまう。すると司馬昭殿ー!と元気に自分を呼ぶ声が。振り向くと馬岱が一匹の栗毛の馬を連れてきていた。
「とりあえず君は、まだ自分の馬もいないから今日はこの孔明殿の馬に乗ってくれるかな?孔明殿の馬だけあって大人しいから、振り落とそうとはしないから安心してね」
はぁ…と曖昧な返事を返すくらいしかできないでいると、後から「馬岱殿!」と絶叫が上がった。
「孔明殿の馬を貸し出すなんて、私は承知しませんよ!孔明殿の使い込んだ鞍に、他の男の尻を乗せるなんて私は断固反対します!」
「いやー、ひょっとしたら馬が孔明殿の匂いでも察知して、見つけてくれるかも?って思ったんだけどねー」
匂いって犬か!とツッコミを入れたくてならないが、「その言い分も尤もだ。鞍は別の物を付ければいいだろう」と、派手な兜の男(※名前がまだ覚えられない)が馬岱殿に加勢する。
結局俺は孔明殿の馬を借りることになった。鞍は替えたのだが、趙雲殿の視線が痛い。四人騎乗し、城外に出る。ぱかぱかと、先頭を進んでいた馬岱がくるりと器用に馬を止まらせ皆の方を向いた。

「よっし!じゃあ、皆それぞれ四方に散ろうかー!――――俺は西とったー!」

言うが早いか「いやっほーーーぅ!!」と言いながら人馬一体になった馬岱は疾風のように駆けていく。そんなテンションなの?と唖然としている俺を置いて、「ならば私は東を!」と続くように今度は趙雲が雷の如く東の地平へと馬を走らせる。「じゃあ俺は南に行くとするか。司馬昭殿、北はお頼みもうした」と、兜殿(※やっぱり名前が思い出せない)も颯爽と南へ姿を消していく。残された俺は、しぶしぶながら馬の進路を北へと向け、馬腹を力強く締める。

(大人しいから、って言うか遅ェーーーーー!!!!)

全速力のはずなのに颯爽どころかポテポテポテと言った感じとはこれ如何に。こんな遅い馬には子どもの時分だってついぞ乗ったこともない。そしてこんな馬に乗っている孔明とは一体どんな人物なのか。疑問はたくさん残るものの、とりあえずひたすらにめんどくさいことに巻き込まれた。これだけは間違いない真実である。
ポテポテポテと、司馬昭が孔明の馬で会稽の地を駆ける。




《続》
→次で一応あとがき?です








ツッコミなり文句なり、ご自由にどぞ
お名前
メッセージ
あと1000文字。お名前は未記入可。