...side.赤司
嫌いと言えば嘘になる でもあの人が苦手だ 距離を詰められて壁に背中を預け、にじり寄るその人から顔を逸らす 「もしかして僕、嫌われてる?」 否定しなければ肯定もしない 重い空気が、私に喋る隙が与えられない 「どうしたの、さっきから黙ったままだけど」 「退いて、ください」 「嫌だ」 ようやく発した言葉は、赤司くんの一言で無駄と化した 「どうして…」 「好きだから」 ニヤリと笑った口元が印象的 思っていたよりも大きな手、綺麗な指先に顎を掴まれた 赤司くんの珍しい瞳の色を至近距離で見た瞬間、唇を奪われる 「僕のモノになりなよ」 其の言葉に、否定はできはない。 |
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