ランダムで選ばれた二人とうちの子一人の小話。演奏家=央編。(全部で6種類)


ズ!時空

なずなつむぎ

「晦!」
「あぁ、どうしました。」
「お前ちゃんと寝てるか?」
「おや、そんな寝てない顔をしてますかね?」

 央は自分の頬にぺたりと手を当てる。血色のないのはいつもですし、と小首をかしげてなずなを見つめる。ぺたぺたとあててみたがわからず首をかしげるので、なずながおいとネクタイを引っ張り寄せて、央の頬に手を当てる。

「うーん。」
「どうしたんですか?めずらしいですね。二人で。」
「つむぎちん。こいつになにかいってやってくれよ。」
「といわれても、いつもこんなかんじですからね。」
「血色がよくないんだよ。あんまり食べてないんだりょ!」

ほら、怒っても変わりませんよ。とつむぎがなずなを引きはがす。怒ってるせいで、後半は噛んで聞き取りがうまくいかない。央は苦笑を浮かべるが、つむぎは目を吊り上げて央くんも食べなきゃだめですよ!と言われて、ガーデンテラスに連れていかれて食事が食べ終わるまで二人が離れてくれず、吐きそうになりながらなずなとつむぎに見守られご飯を食べることになった。



斑みか

教室でヘッドホンをして音楽を聞いていると肩を叩かれて、意識を取り戻した。央の前には斑がおはよう!と鼓膜を破るような勢いで声をかけてくる

「央さん!今時間はいいかあ?」
「よくないといっても、きみは話し出すじゃないですか。」
「そうだがな。何事も手順が必要だからなあ!」
「で、ご用件は何でしょう?」
「みかさんを貸してほしいんだなあ!」
「それはぼくじゃなくて、人形遣いに言いなさい。以上」

どこを探しても見つからない。との返答に眉根をひそめる。おそらくは手芸部部室でぶっ倒れるほどの勢いでなにかをしていたのだろうとすぐに推察はつくのだが、入るとあとがひどそうだ。なので、央は諦めて、みかにいいなさい。ぼくは関与しませんと宣言する。じゃあそのみかさんはどこにいるのか。と問うが、央はさぁ?と小首をかしげて、会話を打ち切ろうとしたが、斑はそれを許さなかった。ともに神輿を担げといわんばかりに央を抱きかかえて、学院内を走り出した。数分で乗り物酔い、ならぬ斑酔をおこして手芸部部室に死体が一つ増えた。





陣友也

保健室でうたた寝してると揺さぶられた。目を覚まして見上げると

「おい、晦。」
「はい、なんでしょう?」
「こいつの練習を見てくれ。」

無言でまだ眠く緩い思考で断る理由を探していたが、成績を引き換えにしてくれるというのならそれは従わなければならない。眠たい目をこすって状態を起こせば、仁兎のところの子が一人。

「いやーこいつ、あきやんにボイトレを頼んでたみたいなんだけど、都合がつかなくなったんだよ。だからさ。」
「面倒を見ろということですか」
「そういうこと。今月だけはここで寝ててもごまかしてやるから。な?いいだろ?」

さぼりの取引ということならば、拒否する理由なんてない。ちらりと佐賀美先生の後ろを見ると緊張した面持ちで丁寧にお辞儀をされた。仕方ないので、場所の確認をするとどうやら防音部屋をおさえているらしい。ならば仕方ないでしょうね。

「承りました。あぁ、ええと真白さん。でしたかね。行きましょうか。佐賀美先生、約束忘れないでくださいよ。」

念を押したのだが、三日で椚先生にばれました。佐賀美先生がとりなしていただいたので、おとがめはないですがね。残念ですねぇ。まともな寝床を得たと思っていたのですが。


宗宙

「演奏のおに~さん!」
「…また。この組み合わせですか。この間は日々樹くんでしたし。奇人の子は奇人なんですねェ。夏目くんの血を争えないというか。」
「全員血は繋がっていない!」
「繋がってたら嫌ですよ。」
「なぜ貴様が嫌がる!」

……この人形遣いは何も知らないからいいんでしょうけど。ぼくは朔間さんと血がつながっていて、奇人全員が血縁者だとぼくが含まれるんですよ。だとかは言えないので、黙っていると、夏目くんの子は大きく手を挙げてぼくへ理由を告げる。魔法の一部に楽器を演奏する人が欲しいと。

「…そうですか。面白そうですねぇ。」
「なので、演奏のおに~さんに手伝ってほしいんです!」
「わかりました。手伝いましょう。いいですよね?人形遣い?」

なぜ僕に確認を取る?と睨まれましたけど、こういうことの領域はあなたが主として管理をする人でしょう?そう問い返せば、そうだが、きみも元は一人で動いていただろう。そっちを使うを良い。と彼は言う。

「…あれは独り歩きする様な感じでしたからねぇ。語源も夜で、ぼくは基本影ですから。」
「演奏家のおに~さんは影なんですか?」
「えぇ、そうやって生きてきましたから。きみには違うように見えるんでしょうかねぇ?」
「はい!演奏家のおに~さんは水の上に浮かぶ月のようなきらきらした黄色です!」
「水の上、ですか。」

まぁ、見事に似た対比なことで。さしずめ、朔間さんはぼくが映している月なんですかねぇ。だとかどこか自分じゃないように考えていると、ぼくの考え事はライブだと感じ取った子は大丈夫ですよ!とぼくの頭を撫でた。

アドニス英智

央が廊下を歩いていると、目眩に襲われた。廊下の隅で小さくしていると、アドニスはそれに気がついて、声をかけた。

「晦先輩。だったか?大丈夫か?」
「えぇ、ただの寝不足ですから。」
「顔色が良くない。保健室まで運ぼう。」

ぼくのいつもですから。平気です。と返答するがアドニスは駄目だと固辞する。黙って運ばれようとか考えたが、それはあとが面倒だと思って、やはり。再び断りを入れるが、アドニスはてこでも動かない。

「晦くん。見晴らしの良さそうな景色だね。」
「天祥院くん、代わりに運ばれますか?」

にっこり問い合わせるとご丁寧に遠慮されたので、乙狩さん。天祥院くんも顔色が悪そうですよ。と伝えれば。彼はぼくと天祥院くんを抱きかかえ保健室に歩き出した。いろいろと、文句を言われましたけど、ぼくはそういうの慣れてるので問題ありません。はい、そういうのは右から左に流すのがいいって人形遣いから学びましたので。



夏目千秋

リーダー会議の終わり、貰った書類と月間予定を掘り起こしつつ隣の夏目くんと話をしていると、守沢くんがぼくの肩を叩きました。

「晦、斎宮は出なかったのか。」
「あれの代理です。気分じゃないからと。」
「全くもって宗にいさんらしいというカ。」

まぁそうでしょうね。そう返しながらぼくの隣に座っていた夏目くんが呆れて息を吐いた。

「まぁその分ぼくはこうしてゆっくりできてるわけですしね。」
「晦今度の新しいユニットソングの打ち合わせをしたいんだが。」
「うん。守沢くん。今ぼくが夏目くんと話をしてたの聞こえてました?」

突然に割って入るなと言外にしたのですけど、守沢くんには理解出来てないご様子。うん、B組は出席率わるいですけど天祥院くん筆頭にA組はこうも人の話を聞かない人が多いのでしょうか。

「央にいさんも気苦労が絶えないネ。ソラが呼んでたからそろそろ行くヨ。」
「そうですか。夏目くん。また近いうちにお話しましょうね。」
「晦。俺の話を」
「聞いてます聞いてますから、落ち着いてください。守沢くん。」

そういいつつぼくは彼の頭に深海くん直伝のちょっぷ。を喰らわせた。まぁ、本気を出すとえげつないことになるので、これぐらいで勘弁しましょう。





ズ!!時空


零凛月

作業の息抜きをしてたら凛月さんがやってきて僕の膝を勝手に借りてそのまま眠ってしまった。身動きが取れないくて、どうすることもなく手持ちぶさたで、鼻唄を歌っていると、朔間さ……零が帰ってきた。

「兄上。何をしてるんじゃ…」
「成り行きでなって、なにもすることがなくて暇なのです。」
「我輩の膝の上でも寝たことなかったのに……」

メソメソと効果音がつくほど零が顔を覆い凹んでしまった。ぼくは動けないですし、どうしようかと凛月さんとれ、零を見比べていると凛月さんが寝返り打つってぼくの膝に腕を載せる。……きみ、起きてませんか?そっと腕を下ろそうとしても無言の抵抗で腕は動く気配はない。うん、ぼくの弟たち。きみたちの完全に血肉を分けた兄弟を長年続けてるわりにこういうの多いですよね。この二人をどうした方がいいのかと考えたが、それよりも先に零がぼくの膝を使って寝転ぶ。つまり、凛月さんの隣で寝ようとしている。

「朔間さん。あの。」
「いやぞい!兄上が我輩を零と呼ばぬ限り動かな……ぎゃん!!」

……凛月さん。零の手をおもいっきりつねらないであげてください。痛そう。肉取れそうなので。やめて。





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