ランダムで選ばれた二人とうちの子一人の小話。無所属=鈴倉千裕編 被服科=叶六連編。(全部で6種類) ざっとした設定 無所属:旧fine現Elysium(一人ユニット)歌っていたいだけの子。人が覚えられない。奇人寄りの性質。3A。 被服科:あんずの1年前よりテストパターンとして活動してる被服科。手より足が出る。鬼龍斎宮の幼馴染2B。 ズ!時空 桃李日和。(無所属) 「千裕くん!キッシュがおいしいよ!食べないのかい?」 「最近食欲がないんですよ。与えないでください」 ビルに遊びにに来たからと天祥院くんに言われて呼び出された瞬間、巴くんに喫茶のスペースまで連れ出された。幼いころから社交界で顔合わせていたこともあってか、ボクが引っ張り出されるのはそういうことなんだろう。青葉くんをひっぱりだせばいいのに。とボクは思う。 「あ!日和様と千裕様!」 名前を呼ばれてびくりと体が飛び上がる。様付けで呼ばれるのは心に悪い。少し浮き上がるように飛び上がったのをばれないように何でもない風にしてごまかした。 「お二人がこんなところでお食事されてるなんて!」 「あぁ…えっと…姫宮の…姫宮さんご一緒されますか?そうしていただけると、助かります。」 「本当ですか!でも、お二人で話されていたのでは」 「それはないので、大丈夫です。それにボクに当たられるのも減るので助かります」 「千裕くん!まるでボクのせいだというように。悪い日和だね!」 そうでしょうに。と言葉を吐き出せば、思ったより、千裕くんは言うようになったねぇ、なんて巴さんは言う。食べ物と飲み物を頼んでくるので、代わりにお相手してあげてください。そう姫宮さんを置いて、ボクは彼らと姫宮さんの執事さんも置いて、注文窓口に歩き出した。後ろで猫なで声のような姫宮さんの声を聴きながら、彼らは何を頼むかと思考を巡らせる。あとで、巴さんにぶーすか言われるのでしょうね。あぁ面倒だ。 ジュン創(無所属) 千裕はテラスでゆっくりご飯を食べていると、向こう側から創がやってきた。 「あ、鈴倉先輩。こんにちは。」 「あぁ……きみは、今仕事中かい?」 「今は…アルバイトとアルバイトの間で時間を潰そうとしていたところです。」 「なら…お茶を飲む?茶菓子とかも買っちゃったんだけどお腹がいっぱいになってしまって。」 代わりに食べてくれないかい?と伝えると、創は目を輝かせた。その反応を見て、お向かいにどうぞ。と千裕が促せば、創が礼をこぼした。あんまりお茶を入れるのは得意じゃないんだけど。はいどうぞ。と別のコップについで差し出す。初めに手渡して、千裕は自分のカップを持ち上げてお茶をすする。まともに接点のない二人の間に沈黙が落ちる。創はちびちびとカップのお茶を飲みながらちらりと前の人を見る。ふわふわしたような印象の人だなぁ。なんて感想を持っていると、遠くから漣ジュンが歩いてきた。 「あぁ、鈴倉先輩ですよね!?、おひいさん知りませんか?」 「……ええと……おひい……その前に君は誰…?」 「玲明学園の漣ですって、毎回挨拶してるじゃないですか。」 「…玲明学園……あぁ、えっと……日和日和言っているあの人、人?だったかな……あの子のいる学園の?」 「そうです、その玲明です。」 この人、確かおひいさんと同じユニットだっ たんじゃ。そう言いながらジュンが眉をひそめた。ひとの覚えが悪いとも事前に聞いてはいたけれども、まさかこれほど人の覚えが悪いとは。むしろ、人とも扱われていない。謎すぎるバイタリティを持つ千裕を見ながらジュンは首を傾げた。 「…きみもお茶を飲みますか?急いでいたってどうしようもありませんから。」 ポットを持ち上げて千裕はジュンに問いかける。笑っているのにどこか圧の感じてジュンは言葉に従った。あれは本能が告げる。逆らってはいけない部類だと。 「えっと、玲明学院の方ですね!友達の雑誌で何度か拝見しました!」 …この空間は一体何なのか理解できずに10分後に前を通った日和により解放されることになる。 つむぎ泉(無所属:追憶時期) 千裕がふらりと教室に戻ったとき、つむぎが席を立ち上がり千裕の名を呼んだ。 「探しましたよ!授業にも出ないで。」 「……えっと。どちら様ですか?」 「酷いですよ。同じユニットなのに!」 こてん。と首を傾げて千裕はつむぎを見た。日の当たらない深い森のような色合いをした瞳には、困惑が浮かんでナッツ色の瞳を見つめた。 「ええと。その声質は……黄色の……黄葉さん?」 「俺のどこにも黄色はないですよ~。青葉です青葉!」 もう結構な頻度で顔を合わせてるんですから!と涙目に声を上げるつむぎと、どうして泣いているのだろうかと考える千裕の二人。欠損を持っている二人に対して、声をかける姿が一つ。それが不機嫌そうに二人の背中に声を投げた。 「あんたちぃ。そんなところで突っ立てるのなんてやめてよねぇ?」 「あ、瀬名くん。すいません。打合せしたかったんですけど、捕まらなくて。」 「出席率悪いもんね。鈴倉。」 「……あなたは。えぇと?青葉さん?」 「はぁ?なんでこんなのと俺を間違われるわけ?」 「ほんの1分前に言ったところなんですけど!?」 怒りをあらわにする泉と、なかなか覚えられない悲しみにくれるつむぎに挟まれながら、現状をいまいち理解できてない千裕は、二人を見ながらどうしたの?と言わんばかりに疑問符をただただ浮かべていた。クラスメイト達はそれを見ながらなんとも言い難い表情をしていたのはここに残さないでおこう。 英智晃牙(被服科) 「おい、お前なぁ!」 「はぁ?アタシは生徒会の依頼で来てんの。黙って採寸させろやこのやろう!単位がかかってんの!!」 夢ノ咲では毎年恒例の行事がある。生徒会立ち会いのもとの採寸。学院共通服の作成のために昨年度から被服科が作成することになっているのだが参加率は比較的よろしくない。だから無理やり生徒会の立ち会いのもと採寸を行われるのだ。そして最終的に採寸に来ないものに対しては、被服科が直接殴り込みにいくと生徒会の許可のもと行われている。 その被害者は……。 「大神晃牙あんたが二年の最後だよ!!」 「人の話を聞け!!俺様は採寸を終わらせているっ!」 「んなわけないでしょ!!」 2年B組のリストあんただけ載ってないの!!載ってないのに採寸が終わってるとか言わないでよ!!怒鳴り合うような声量で、二人を静視していた生徒会役員天祥院英智が停止をかけた。 「止めんな、生徒会。」 「いや、止めるよ。彼はきちんと計っているよ。どうやら生徒会の採寸記録担当した誰かが間違えたんだろう。」 リストがA組と間違っているようだ。大神くん。この数値は違うんじゃないかい?そう言いながら英智がリストを差し出せば大神は紙を引ったくって一瞥する。この高さならアドニスだろ。とそっけないアドニスの数値が俺のだよ。そう言いはなって、じゃあ帰るから。と大神はあっさり部屋を出ていった。 「……責任者。」 「ほら、怒らないの。そういうのはこちらで処理しておくから作成に取りかかって大丈夫だよ。」 「……絶対に許さない。」 「ほら、落ち着く落ち着く。」 どうどうとなだめられたけど。アタシは馬じゃないっ!!叫びながらとりあえず資料だけ引ったくって飛び出した。 英智薫(被服科) 「あ、六連ちゃん」 「それ以上近づいたら防犯ブザー鳴らす。寄るな。」 つれなーい。と薫が声を上げるが、それと比例するように六連の目線は人を射殺すほど鋭い。以前も似たような事があり、本当に催涙スプレーを振りかけられた実績もあるので、薫はそこで乾いた笑いを浮かべた。六連は有限実行する女というのを身を持って知っている。 「近づかないから大丈夫だよ。安心して。六連ちゃんは生徒会の近所にいるの?結構寄りたくないって言ってなかった?」 「あぁ。それは僕が呼んだんだ」 薫の背後から新たな介入者英智が姿を現した。待たせたね。なんでもないです書類はありました?あぁ勿論。淡々としたラリーをして、六連はさっさと歩き出した。 「今から打ち合わせでね。僕の書類が必要だったから一緒に取りに来たんだ。」 「へぇ。衣装の?」 「そうだよ。ユニットの衣装案を煮詰めるためにね。順次対応することになるから『UNDEAD』もやることになるからね」 「先輩。」 「わかったよ。今行く。」 じゃあね。羽風くん。英智の一声にあわせて六連は会釈を一つ。それにつられて薫も頭を下げる。それを見てから六連はさっさと歩き出した。早すぎるよ。と英智はからかえど六連はそう簡単に変わる女ではなかった。速度は倍速で早く消えた。英智は腹を抱えて膝まで叩いていた。 真緒嵐(被服科) 真緒に用事があったから打ち合わせを急いで切り上げて六連は慌てて教室に戻ってきたが、教室には雑誌を読んでいる嵐しかいなかった。 「衣更、戻ってきてない?」 「真緒ちゃん?まだ見てないわねぇ。生徒会じゃないかしら?」 「そう」 「用事なら伝えておくわよ?忙しいんでしょ?」 提出書類についていきたかったのだが、居ないのならば仕方ない。鳴上に頼んで被服科室に戻ろうかと思ったのだが、そのタイミングで慌てた衣更が戻ってきた。叶いるか?と教室のドアから頭を出した。 「おっせぇ!何してんだよ。」 「悪いって、外部業者とやり取りが手間取ってさ。」 「その外部業者首を切れば?」 「ほんと、お前は1か0か割り切りすぎてるよな」 「特待生なんて、そんなもんだかんな」 六連はきっぱりと切り捨てる。彼女自体がそういう契約の元被服科として立っているのを思い出して、やりすぎよぉと嵐はこぼした。ぎっとした黄色が軽蔑するような目で嵐を見た。 「一度でも選ばれなかったら終わりだから。」 「いや、おまえだって学年首位を落ちた時の救済措置あるだろうが。一度で切るな一度で。」 「救済措置あっただと…?」 「え?話されてるだろ。俺たちだって赤点でたら補講があるんだからさ。」 うそでしょ。とこぼして目を見開いている。その様子が嘘だろうと目を見開いた。どうやら初耳のようだ。 「お前、意外と話を聞いてない?」 「いや、聞いてない。初耳なんだけど」 「六連ちゃんもおっちょこちょいなのねぇ。」 「人間完璧なんてできないだろうし、こっちでも一回確認しておくか?」 真緒の申し出に六連は震えた声で、やめておく。とりあえず学年首位さえとっておけば許されるのだから別にいらない。そうぶった切って六連は話の本来衣更を探していた理由に戻す。 「話が有る。お前たちの申請衣装について。」 「うわ…まだその話をするのか!?」 「する。衣装代についてかなり問題になってるからな!!」 鳴上も見て見ろ!安くで綺麗で見栄えのいい衣装なんてできるわけないだろうが!!予算をもっと増やせ!!嵐は渡された書類を見ると、確かにちょっと安すぎるんじゃない?と首を傾げた。ほら見て見ろと六連は鼻を鳴らしてそれ見て見ろと言わんばかりの表情を浮かべて、今からA組に行くから。そう吐き捨てて、六連はずんずんと隣クラスに殴り込みに行こうとしていて、真緒は慌てて六連を掴んで止めた。が、その勢いは真緒だけでは止められないほどで、暴走機関車のようにずんずんと歩き出したのであった。そんな様子を見て嵐は慌てて真緒に加勢することになったのだった。 ズ!!時空 茨真緒(無所属) 千裕がビルの廊下を歩いていると、学院に用事だったのか、七種茨と遭遇した。千裕は一度だけ眉をしかめてそのまま素通りしようとしたが、それでも通行人を見つけた茨は千裕にとりついた。無視を貫いていたけれども、まとわりつく様に来られて身動きがとれなくなり千裕はため息をついた。 「千裕卿相に謁見できることがどれだけ嬉しいか!」 「…やめてください。僕は、ただの鈴倉千裕ですから。あなたのご用事は、彼が解決してくれるので。」 「へっ!?」 指さした先には、『Trickstar』の真緒がそこにいた。え?俺?と衣更が困惑している。茨が次に千裕のほうに目線を動かしたが、その時既に姿を消してしまった。 「千裕卿相!?どちらに!?」 「え?今、鈴倉さん?いた?っていうか、消えた?」 そこに千裕の姿はない。真緒と茨、二人がきょろきょろする謎の光景だけが生まれた。これが、後に鈴倉千裕が幽霊説という話につながる。 凪砂弓弦(無所属) 千裕は首を傾げた。膝上には、乱凪砂の頭。そして歌ってと言われたので歌ってはいるのだが、この現状にはよく理解が及ばずにいる。 「千裕、動かないで。」 「鈴倉様。この現状は…?」 「ボクにもよくわかりません。」 膝上の乱凪砂は石器のかけらを天井のライトに重ねるようにして輪郭を愛でている。確か今日はビルの清掃日だったはずだが、そこにどうして弓弦がいるのかと問い合わせれば、どうしても掃除がしたいので申し出て担当がこの場所だという。ならばさっさと移動すべきなのだが、この膝上の彼が許してくれない。物理的に投げ出しましょうか?なんて言われて千裕はそんな暴力は…と言うけれども、大丈夫ですよ。と弓弦は笑う。 「乱様。あちらに先日届いたお荷物がありますよ。」 「……荷物?」 「えぇ、関西のほうから送られてきてましたけれども、お心あたりは…?」 「何だろう?見てくる」 そう言って凪砂は弓弦の指さした部屋に歩いていく。膝を解放された千裕はその消えていく先を見つめて、荷物って本当なんですか?と問いかければ、えぇ、コズプロからの荷物にそういうのが混ざってると伺っていますと言い切った。 「あなたは、結構思い切りがいいよね。」 「鈴倉様にはかないませんよ。」 にっこり弓弦が笑うので、千裕はこの部屋は出ていくから、あとはお願いします。と動き出す。千裕が座っていた場所がかなりの砂が発見されて、弓弦の手によって千裕は風呂に叩き込まれたのであった。 |
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