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【Love Me Two Times】
カシアンは両手に紙袋を抱えながら、
薄暗いメインストリートをジザベルと歩いていた。
彼は袋を一つだけでもいいから持たせろと言ってきたが、カシアンは頑として聞かなかった。
どうしても自分一人で持ちたかったらしい。
それは大人になった自分の体をより強く実感できるから。
以前の子供の小さな体では、
力はあっても体の大きさが足りなくて、どうしても一つが限界だった。
だからいつも、もう一つはジザベルに持たせていた。
そんなことを隣にいるジザベルに話していると、彼は突然カシアンのシャツの袖口を引っ張って歩き出した。
「なに?どうしたんだい、ドクター」
「いいから」
なにか気に障ることでも言ったのだろうか。
カシアンは不安になったが、ジザベルがそれ以上語ろうとはしないので黙ってついて行った。
裏路地へと繋がる角を曲がったそこは、申し訳なさそうに街灯が一つ灯ってるだけだった。
シャツの袖口がぱっと離されたかと思うと、振り返ったジザベルに軽くキスをされた。
「やっぱり」
呆気にとられているカシアンの顔を見ながら、ジザベルがぽつりと呟く。
何の事だかさっぱり解らない。
「突然なんだい?照れるじゃないか」
「いえ…もう背伸びしないと届かないんだと思って」
ジザベルは数ヶ月前のように照れる素振りもなく、何食わぬ顔で言い放った。
彼の唇に届かない。
そう、カシアンが子供の姿の頃は、
自分が座っているときにしか彼は届かなかったのに。
今は、逆に自分が少しかかとを上げないと、届かなかった。
今まで気にしてはいなかったけど、大人になった彼とそんなに身長差があったなんて。
ジザベルは少し悔しさを噛みしめながら、また表通りに出て行った。
「どうしました?カシアン、行きますよ」
いつまで経っても出てこないカシアンに声をかける。
取り残されたカシアンはしばらくぽかんとしていたが、
込み上げてくる笑みを零さずにはいられなかった。
「くそ…可愛いことしやがって」
帰ったら覚えてろ。
そう呟いて、見慣れた背中を追いかけた。
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