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(特派ルート:スザクEDの1年後/現在3まで)








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それは、確信をはらんだ予感だった。

戦場で命をかけたやりとりを繰り返して得た対価にしては、ひどく限定された第六感。
ブリタニア本国から派遣されてきたKMF開発担当の技術者が、特派のデヴァイザーを紹介されたときに見せた僅かな視線の揺らぎを、スザクは決して見逃さなかった。

互いの簡単な自己紹介の後に、彼女は手にしていた分厚い資料の束を繰るとこちらに開いて見せてきた。

「この箇所のデータには、通常見られないような波形が現れています。具体的には、貴公はどのような動きをされていたのですか?」

口調は淡々としているのに、その視線には技術者としての情熱以上の熱がこもっていることに、彼女は気付いているのだろうか。
気付かなければいい。もっとも、彼女の意識はスザクには向けられていなかった。
もう1人のデヴァイザーであるライは、対外向けの控えめな微笑みを浮かべて答えた。

「テスト開始3分を過ぎた辺りですから、左右同時に接近してきたグロースターの牽制弾を避けていたとおもいます。私は、ギリギリで弾道を避ける癖があるので」

「そんな…!  もしも被弾したらどうするんですか?  いくらあなた方のランスロットが最新技術を搭載した機体だからといっても、被弾すれば装甲は破損するのですよ?」

今度は言葉にも強い感情が乗っており、自分の発した声で我に返った彼女は頬をうっすらと染めて俯いた。
濃いブロンドの長いまつげが、少しそばかすの浮いた白い肌に影を落とす。

「すみません、つい…」

恋心を抱いた女性は、本当に一瞬で変身する。
化粧も髪型も一切構っていないにも関わらず、今の彼女には、先ほどまでは微塵もなかった庇護欲をかき立てられるような可憐さがあった。

「いえ、KMF開発に関わっている方であれば、私のような操縦法に憤りを感じられるのは当然です。生みの親である開発者にとって、KMFは我が子のようなものでしょう。しかし、私にとってもランスロット・クラブは命を預けた大切な相棒です。決して機体のスペックに合わない戦い方はしていません」

あの…と、別の言葉を続けようとした彼女の言葉を遮ったのは、口を開きかけたスザクではなく、彼女の上官と特派の開発責任者だった。

「少尉、君の熱心な研究心には敬意を払うがね。滞在期間は2週間もあるのだから、初日早々特派のデヴァイザーに噛み付くのは控えたまえ」

「あはは〜、彼なら大丈夫です。お気になさらず。僕が毎日、もっと色々噛み付いちゃってるんで、耐性ついてますから」

ロイドさん、自覚しているならもう少しお手柔らかにお願いしますと、ライが苦笑まじりに返すと、そこで一気に空気が和む。ようやくスザクは、薄く開いていた唇を閉じた。



僕は、一体何を言うつもりだったのだろう。




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