拍手ありがとうございました!

お礼SSは今のところ、拍手ごとにGS3ニーナが2種類ランダムです。
過去作で申し訳ないです…
これから他キャラのも書き下ろしで増やしていくつもりです。

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どこかで見たことある風景な気がする。
遠くからでも目立つ、白いワンピースの裾が噴水の傍で水飛沫をあおる風を受けて揺れてた。
両手に持ったカップをこぼさないように気をつけながら、オレは待ちわびる彼女の元へと急ぐ。

「お待たせ。ハイ、これアンタのいちご練乳がけ!」

後ろから声を掛け、赤と白でまだらに彩られたかき氷が盛られたカップを手渡した。

森林公園の噴水脇、照り付ける真夏の日差しを避けるように
木陰の下に置かれたベンチに並んで腰を下ろす。
今を盛りに響くセミの大合唱を背に、オレは自分のブルーハワイに改めてストローを突き刺した。
夏を体現するような炎天下の昼下がりだけど、木陰でこうしてると暑さもだいぶマシに思えるような気がした。

オレらだけでなく、水辺の周りはこの時期、近場で手頃な涼を求めた家族連れも多い。
目にも涼しげな噴水と、風に一斉にざわめく夏の木々の葉の匂い。
こうして木陰から周りを見渡してると、なんだか近所ってことを忘れて
遠い避暑地にでもいるような贅沢な気分にさえなってくる。
そんなふうに思えるのも、きっと。

「かき氷、冷たくておいしいね」

幸せそうな顔して、ストローを口に運ぶ彼女が今、自分の隣にいてくれるからなんだろう。

その時彼女とオレの間を、虹色に光る小さな泡のようなものがふわふわと流れて横切った。

「あ、シャボン玉……」

水辺で遊ぶ子どもたちの誰かが吹いたのかもしれない。
大小様々な大きさのシャボン玉が風に流され、噴水の方からたくさん運ばれてきて、
風に浮かんで舞い上がりオレたちの周りも包み込む。

「……オレ、けっこー好きかも、シャボン玉。昔さ、よく遊んでたんだよね」
「ニーナは、ホントは今でも遊んでるんじゃないの?」
「あー、ヒッデェ! アンタはいっつもそうやって子ども扱いするし……」

口を尖らせたオレにふふっと笑った彼女の側を、一段と大きなサイズのシャボン玉が流れてきた。
まるで覆うように彼女の顔の前に重なった瞬間、
それは彼女の笑顔と一緒に、オレの目前でパチン!とはじけるように消えた。


………………。

目が覚めると、いつもの見慣れた自分の部屋だった。
ベッド脇の窓から差し込んでくる光の強さに、朝はもうとっくに来ていることが分かる。

……我ながら、すげー甘い、昔の夢見ちゃったかも。
   すごく遠くて、だけど、幸せな夢だった。

ベッドから上半身を起こし、戻れない日々に思いを馳せるように、
さっきのことを思い返してしばらく窓の向こうをぼんやり眺める。


その時部屋の扉が開いて、足音がオレの方へと近付いてきた。

「目が覚めた? おはよう。はい、これニーナの分」

注がれたばかりで、まだ湯気の立つコーヒーが入ったカップを手渡すと、彼女は自分のマグカップを手に、ベッドのオレの隣に並ぶように腰掛けた。


「……さっきさ、アンタの夢見たよ」
「へえー。どんな夢?」
「昔の夢。高校の頃の時の。」
「いい夢だった? わたし可愛かった?」
「それ、言わせちゃう? ……アンタは、夢の中でも、今でもずっと変わらずにさ……」

カップの中身をぶちまけないよう気をつけながら、
抱きつくように背中から両腕を回して包み込む。

「……すっげカワイイから」

あの日オレが彼女に渡したかき氷のカップは、
今は彼女がオレのために淹れてくれたコーヒーを注ぐ、お揃いのマグカップへと変わって。
だけどあの頃と変わらない、せいいっぱいの思いで包み込んだオレの腕にそっと触れた彼女の指には、オレとお揃いの指輪が光っていた。



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以前、イベントに参加した時に配布した
ペーパーに載せていたニナバン小話でした






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