*最後のアンケートにもご協力御願い致します(06.12/18)



 ―――それは、これまでの、いやこれからの人生含めても最大の敵なのかもしれない。

 私は一人、その場で佇んでいた。

 これまで対峙してきたどんな敵にも勝る威圧感。

 それは全く予期していなかった、内に潜む最大の敵だったのかもしれない。

 目の前に立ちふさがるその名を、人はこう呼んだ。

 ……厠、と。





 〜頑張れ、女皇様特別編 「はじめての厠編」〜





 厠【かわや】 便所。  〜大辞林 第二版より〜

 ……なんか、妙な解説がどこかから飛んできた気がする。

 最近、民衆の疑問に答えていこうと瓦版に張り出した『なぜなにうたわれるもの』以来、時折妙な気配を感じてしまう。

 ……まぁ、それはさておき。

 今は目の前の敵を何とか攻略しなければならない。

 目の前には、希望溢れる未来へと繋がる扉。

 普段なら何の躊躇も無く引き開けるはずのその木製の扉はしかし、私の前に立ちふさがる最大の障害となっている。

 とはいえ問題があるのは私、正確に言えば私の体に起きてしまった異変だ。

 説明するには長い話だ。

 ―――体が女性化してしまった。

 ……語るに長いのは主に私と周囲の複雑な心境のことだが、根本はそれだけで十分伝わる。

 長い話、はおいおい語られていくだろうが、今はその女性の体が最大の問題なのだ。

 私の額に汗が浮かんできた。

 この扉の前で躊躇し始めてどのくらいの時が過ぎただろうか、そろそろ私の腹も限界が近づいてきた。

 すぐ目の前には目的地。

 ほんの少しの勇気を振り絞れば楽になれる。

 ……でも、なんだか自分が悪いことをしているみたいで、行動に移せない。

 だって、考えてみて欲しい。

 自分の体が女性化してしまったのだ。

 ……つまりだ、用の足し方が分からない。

 こんなこと、恥ずかしくて聞けるようなことではないじゃないか!

 そんなことを尋ねれば、『変態皇』なんて不名誉な称号がまた増えてしまう。



 クイッ、クイッ。



 ……だが、だからと言ってここで何時までも立ち往生していることは出来ない。

 ここは漢ハクオロ、潔く決断すべきではないか!



 「おとーさん」

 「すまない、アルルゥ。今、お父さんはとても大事な決意をしているんだ」



 そう、これは一つの儀式。

 体は女でも、心は漢。だからこそ、ここは勇気ある決断を下すべきだ。

 人間はこれまでも幾多の困難に直面し、勇気ある決意の下で数々の栄冠を手にしてきたのだ。

 それに比べればこれしきのこと、障害の内に入るだろうか(いや、入らない)!

 今、私は勇気を以って英断を下し、初めての挑戦にも果敢に挑もうではないか!



 それまでの迷いを吹き飛ばすように、決意に満ちた目で前を見据える。



 ―――ガラガラガラ。



 ピシャッ、と無常にも扉の閉まる音。

 ……アルルゥが、目の前の扉の向こう側へと消えていった。



 ドンドンドン!



「ア、 アルルゥさん? アルルゥさん!?」



 ―――敵は、内側にあったか。

 堤防の決壊は近い。

 ハクオロは顔を真っ青にして目の前の天国の扉を殴打する。



 ……平和な日常。青く高い空に、乾いたノック音だけが無常に響いていた。



 終われ。





 あとがき?

 製作時間10分。そろそろ拍手SSも変えようかな、と思っていたので、「或る女皇の憂鬱」で使おうと思いながらも、ネタとして短くて使えないとお蔵入りに仕掛けたものを転用しました。

 今でこそやや硬い展開が続く「或る女皇の憂鬱」ですが、実際のテンションはこんな感じです。そのうち本編も続けたいと思うのでお願いします。



 恒例のアンケート

Q1 次の作品で何が好きですか?
1、そうだ、旅へ出よう
2、或る女皇の憂鬱
3、STEP BY STEP(ToHeart2)
4、実は、凍結前の交錯世界のことが……
5、短編

Q2 正直、誰がタイプです(候補にモデルはいません)?
1、家庭的だけど怒るとエルンガーになる女性
2、大人っぽいけど酒飲みでやたらと喧嘩が強い女性
3、侍だけどうっかりな女性
4、体が弱いけど流れ的に正室になる女性
5、子供だと思っていたらいつのまにか成長していた幼馴染
6、最近帰ってきたアイアンクローが得意なお姉さん
7、クラスの委員長。病弱だけど強気な妹持ち
8、るー。
9、ごめん、長いからその他(笑)

因みに私は2or3−7の組み合わせだったりしますw




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